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    レポート
    ハイレッド・センター:「直接行動」の軌跡
    渋谷区立松濤美術館 | 東京都
    赤い「!」がトレードマーク
    高松次郎、赤瀬川原平、中西夏之らによって、1963年に結成されたハイレッド・センター。“直接行動”で日常に芸術を持ち込んだ前衛芸術家集団の結成50年記念展が、渋谷区立松濤美術館で開催中です。
    会場。左奥の写真は、左から《男子総カタログ(赤瀬川原平)》《男子総カタログ(中西夏之)》《男子総カタログ(赤瀬川原平)》
    中西夏之《洗濯バサミは撹拌行動を主張する》
    会場
    会場
    ハイレッド・センター結成披露の展示会《第5次ミキサー計画》の写真(1963年)。左から中西夏之、高松次郎、赤瀬川原平
    《ドロッビング・ショー》の写真
    《法廷における大博覧会》には、「模型千円札裁判」の公判期日召喚状(手前中央)などが
    赤瀬川原平《大日本零円札》と両替された現金の瓶詰
    内覧会に姿を見せた和泉達さんは、4人目のハイレッド・センター合法部員
    高松のHi、赤瀬川のRed、中西のCenterと、三人の頭文字を並べたハイレッド・センター。発起人の三人と、後に加入した和泉達さんを加えた四人が合法部員で、周辺の芸術家たちも巻き込んで、社会の日常の中でさまざまな「イヴェント」を行い、美術関係者のみならず一般からも注目を集める存在でした。

    展覧会では、グループとしてとして活発に活動していた時期とその前後を含め、1962年~1967年までの活動を俯瞰します。


    会場入口から

    ハイレッド・センターの「イヴェント」自体は展示できないため、記録写真を中心に、関連するオブジェや作品、再制作や資料を交えて立体的に構成されています。


    会場

    「シェルター計画」は、1964年1月にに帝国ホテルで行われたイヴェントです。白南準(ナムジュン・パイク)、小野洋子らに招待状を出し、会場で徹底した身体測定を実施。写真撮影を行ってカルテに記録しました。

    最終的に招待者は「シェルター」の予約、または「ハイレッド缶詰」(中身は1円玉とアルミニウム粉、など)の購入を勧められました。


    「シェルター計画」

    「首都圏清掃整理促進運動」は、東京オリンピック開催期間中の1964年10月16日に銀座で行われた清掃イヴェント。

    事前に参加を呼びかけるビラを散布し、当日は白衣姿のメンバーたちが、銀座・並木通りの舗道のブロックを雑巾がけしたり、横断歩道を洗剤で洗ったりしました。

    ビラでは一般の参加も呼びかけましたが「実際に参加した一般人はいませんでした」(和泉達さん)という事です。


    「首都圏清掃整理促進運動」

    会場の後半には、赤瀬川原平さんの「千円札裁判」事件に関連するエリアもあります。

    読売アンデパンダン展などで1000円札をモチーフにした作品を発表していた赤瀬川原平さんが通貨及証券模造取締法違反で起訴され、前衛芸術と表現の自由を巡って大きな論争となった事件です。

    赤瀬川さんらは、前衛芸術を説明する証拠品として東京地方裁判所にハイレッド・センターの作品を陳列するなどして、無罪を主張。裁判は最高裁まで争われ、懲役3カ月執行猶予1年の有罪で確定しました。

    会場には起訴状や当時の報道なども含め、多くの資料や作品が紹介されています。


    「千円札裁判」事件に関連するエリア

    人をくったようなユーモラスな「イヴェント」ですが、トレードマークの赤い「!」も含めて、都会的でスタイリッシュな雰囲気が漂うハイレッド・センター。高松次郎さんは1998年に死去しましたが、実はハイレッド・センターは正式には解散していまません。今秋には千葉市美術館で、赤瀬川原平展も開催される予定です。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2014年2月10日 ]


     
    会場
    会期
    2014年2月11日(火・祝)~3月23日(日)
    会期終了
    開館時間
    特別展期間中:午前10時~午後6時(金曜のみ午後8時まで)
    公募展・小中学生絵画展・サロン展期間中:午前9時~午後5時
    最終入館はいずれも閉館30分前までです。
    休館日
    月曜日休館 ただし祝日は開館し、翌日休館
    住所
    東京都渋谷区松濤2-14-14
    電話 03-3465-9421
    公式サイト http://shoto-museum.jp/
    料金
    一般 300円/小中学生 100円
    展覧会詳細 「「ハイレッド・センター」 直接行動の軌跡」 詳細情報
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