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    レポート
    観音の里の祈りとくらし展Ⅱ-びわ湖・長浜のホトケたち-
    東京藝術大学大学美術館 | 東京都
    観音の里から、第2弾は49点
    2014年3月~4月の「観音の里の祈りとくらし展」で、大々的に紹介された滋賀・長浜の観音像たち。短い会期にも関わらず多くのファンを集め、「日本屈指の観音の里」の実力を見せてくれました。2年ぶりに開催される第2弾展はさらにスケールアップ、会場は同じ東京藝術大学大学美術館です。
    (左から)国指定重要文化財《仏頭》善隆寺 長浜市西浅井町山門 / 国指定重要文化財《伝千手観音立像》黒田観音寺 / 長浜市指定文化財《光明本尊》法光寺
    (左から)滋賀県指定有形文化財《馬頭観音坐像》山門自治会 / 長浜市指定文化財《馬頭観音立像》横山神社
    (左から)長浜市指定文化財《聖観音坐像》 / 長浜市指定文化財《阿弥陀如来坐像》 ともに阿弥陀寺
    《千手千足観音立像》正妙寺
    (中央)滋賀県指定有形文化財《十一面観音立像》 / (両脇)国指定重要文化財《持国天立像・多聞天立像》 すべて石道寺
    (左から)長浜市指定文化財《阿弥陀如来坐像》大浦観音堂 / 長浜市指定文化財《大日如来坐像》遍照寺 / 国指定重要文化財《大日如来坐像》光信寺
    国指定重要文化財《愛染明王坐像》舎那院
    (左から)《阿弥陀如来立像》 / 《十一面観音立像》 / 《薬師如来立像》 3体とも浄光寺 / 《如来形立像(いも観音)》安念寺
    会場
    18点が紹介された前回展もかなりの迫力でしたが、今回は一挙に49点。国指定の重要文化財は16点、滋賀県指定有形文化財が7点、長浜市指定文化財が20点で計43件、実に88%が指定文化財という豪華なラインナップです。

    戦国時代に何度も戦火に見舞われながらも、大切に守られてきた長浜の観音像たち。祀られているのは決して大きな寺社ではありませんが、人々の静かな想いが込められた観音さまは、今なお暮らしの中に息づいています。


    観音像に包まれる空間は圧倒的

    観音様に囲まれた展示室は、厳粛な趣き。出展数が多いので、鑑賞する方それぞれでお気に入りの観音様を見つけていただければと思いますが、注目の何点かをピックアップしてご紹介したいと思います。

    展覧会のメインビジュアルになっているのが、黒田観音寺の《伝千手観音立像》。平安時代の作で像高200センチと、今回の出展物の中で最大の観音さまで、国指定の重要文化財。お堂の外で公開されるのは今回が初めてです。

    千手観音像の多くは手が42本造られますが、こちらは18本。展覧会場に来た事で、普段は厨子の中にあるために見る事ができない足元の衣文線まで見られるとともに、背後に回っての鑑賞も可能です。


    観音寺《伝千手観音立像》

    こちらも国指定重文で堂外初公開の、医王寺《十一面観音立像》。井上靖の小説「星と祭」にも登場する観音さまです。

    衣のひだは大波と小波が交互に現れる「翻波式(ほんばしき)衣文」で、平安時代前期(9世紀後半)の作。実は近代になってから長浜の古美術商から買い求められたというユニークなエピソードも伝わります。


    医王寺《十一面観音立像》

    像高38.5センチの可愛らしい仏像が、竹生島・宝厳寺の《弁才天坐像》(長浜市指定文化財)。

    琵琶湖に浮かぶ竹生島は、古くから弁才天信仰の聖地であり、戦国武将の浅井氏とも縁が深い場所。像は室町時代(弘治3年・1557)の作で、頭に宇賀神(顔が翁、体が蛇のユニーク神像)、鳥居がついた宝冠を被り、手は8本。フォルムはシンメトリーで、異様に落ち着いた表情が心に残ります


    宝厳寺《弁才天坐像》

    首都圏で活発な広報を続ける長浜市。3月には上野の不忍池のほとりに、文化情報発信拠点「びわ湖長浜 KANNON HOUSE」も開設しています。檜で造られたお堂が設けられ、本物の観音さまを設置し(2カ月ごとに展示替え、現在は川道町・尊住院の聖観音立像を展示)、観光情報も発信しています。

    場所は京成上野の池之端口を出たら目の前のビルの1階、入場無料ですので展覧会の帰りにお立ち寄りください。

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2016年7月4日 ]



    ■観音の里の祈りとくらし展 に関するツイート


     
    会場
    会期
    2016年7月5日(火)~8月7日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00~17:00(入館は午後16:30まで)
    休館日
    月曜日(ただし、7月18日は開館)、7月19日
    住所
    東京都台東区上野公園12-8
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://www.geidai.ac.jp/museum/
    料金
    一般1,200(1,000)円 高校・大学生700(600)円(中学生以下は無料)
    * ( )は20名以上の団体料金
    * 団体観覧者20名につき1名の引率者は無料
    * 心身に障害のある方および付添者1名は無料(入館の際に障害者手帳をご提示ください)
    * 本展をご覧のお客様は当日に限り、同時開催「平櫛田中コレクション展」を無料でご覧いただけます。
    展覧会詳細 観音の里の祈りとくらし展Ⅱ-びわ湖・長浜のホトケたち- 詳細情報
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