サスケ、ハットリくん、変身忍者 嵐、忍たま乱太郎、ナルト、ニンニンジャー…。テレビでお馴染みの忍者ですが、近年は科学的な研究も進み、実際の姿も明らかになりつつあります。
展覧会は学術的な考察とともに「忍者修行」をしながら、謎多き忍者の実像に迫るユニークな企画。夏休みに相応しく、子どもたちが楽しめそうな仕掛けにあふれています。
会場は忍者の歴史や史料を紹介する「忍者研究室」から。フィクションの世界では、忍者は江戸時代から人気があり、大正時代には忍術ブームが到来。今は海外でも映画が制作されるほど広まりました。
展示されている「万川集海(まんせんしゅうかい)」は忍者の教科書ともいわれる江戸時代の忍術書。伊賀・甲賀四十九流の忍術を集めたものですが、強調されているのは「正心」について。忍者にとって最も必要なのは「正しい心」なのです。
忍者研究室ここからは、いよいよ忍者の修行体験です。「心・技・体」の総合的な力を兼ね備えていた忍者。まずは「体」の鍛錬から進めましょう。
忍者の動きの基本3原則は、関節の力を抜く「抜き」、複数の関節を連動して動かす「井桁」、大声を発してパフォーマンスを高める「気合」。スポーツをやっている方は参考になりそうです。
修行は音を立てずに歩いたり、高いものを跳び越えたりと、なかなか高い難易度。センサーがあり、失敗すると無情のブザーが鳴ります。
その1「体をきたえよ」続いて、技を極めます。忍者は体力だけでなく、様々な技と知識を身に着けていました。
展示されている忍者の道具は、お馴染みの手裏剣だけでなく、メリケンサックのような鉄拳、短刀が入っている仕込み煙管など実に多彩。忍術書に記されたレシピをもとに、忍者の携帯食も再現して展示されています。
後半はさらなるミッションとして地形・方位・天気の読み方なども。「のろし」をあげるまで、頑張ってください。
その2「技をきわめよ」最後は、心のコントロール。忍者は印を結ぶ事ことで精神統一をはかっていました。「臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前」の9つの印を結ぶと、短い時間ですが(10分程度)、集中とリラックス状態が高まる事が実験でも明らかになっています。
忍者修行の仕上げは「ナンジャ大滝」。忍者のポーズを決めると、滝に映った自分のシルエットが反応します。
体験を終了すると、日本忍者協議会公認の「忍者認定証」も貰えます。ハローキティとのコラボグッズをはじめショップも充実していますので、お楽しみに。
その3「心をみがけ」襲い掛かる敵を次々に倒していくのが忍者の一般的なイメージですが、展覧会を監修した三重大学人文学部教授の山田雄司さんによると、忍者が目指した境地は「なるべく戦わない」こと。必要な情報を早く手に入れて主君に届けるのが、忍者の任務。必ずしも相手を倒す必要はなく、むしろ効率的に情報を得るために人と仲良くなるコミュニケーション力も求められるなど、忍者の実像はフィクションの世界とはかなり違っていたようです。
展覧会は
日本科学未来館で10月10日(月・祝)まで。次いで忍者の聖地ともいえる三重に巡回します(
三重県総合博物館:10月25日~2017年1月9日)。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2016年7月1日 ]■忍者ってナンジャ に関するツイート