約6600万年前に絶滅した恐竜。恐竜の研究もすでに150年以上前から行われていますが、研究が進むに連れてさまざまな事象が判明しており、これまでの常識が覆される事も珍しくありません。
展覧会は「起源」「植物食」「飛翔」「水中進出」「赤ちゃん」「恒温」「鳴き声」の7つのキーワードで構成。最新の調査に基づいた研究結果も含めて紹介されます。
チレサウルスは2014年に報告された新種の恐竜。すり減った歯から植物食の恐竜と考えられますが、これも「初期の獣脚類はすべて肉食」という従来の常識を覆す事例です。
会場は「起源」「植物食」「飛翔」と続きますお待ちかねのスピノサウルスは、続く「水中進出」に登場します。
全長約15mと大型バスよりずっと大きく、背中にある帆のような突起が特徴。人気者のティラノサウルスと対峙するように展示されています(実際の両者は生息地も時代も違うため、対決する事はありえません)。
スピノサウルスは戦前の1912年にドイツの学者が発見しましたが、大戦中の連合軍による空襲で標本が焼失。「幻の恐竜」とされていましたが、2008年に新たな化石が見つかった事で、ようやく研究が進み始めました。
骨格から肉食恐竜としては珍しく四足歩行していたとみられるスピノサウルス。骨密度の高さから水中生活の可能性も指摘されており、今後の研究も待たれます。
「水中進出」でスピノサウルスとティラノサウルスが対峙巨大恐竜に続いて、可愛らしい?恐竜の赤ちゃんの化石も展示されています。
こどもの骨は小さくて薄いため、良い化石として残りにくいのですが、本展ではカスモサウルスとパラサウロロフスの赤ちゃんの化石が初来日しました。
ともに推定1歳未満。カスモサウルスは頭部のフリル、パラサウロロフスは後頭部の突起が特徴的な恐竜。大人の標本と合わせて展示されていますが、赤ちゃん恐竜も、小さいながらも特徴が化石からも見る事ができます。
「赤ちゃん」第2会場では、採集した岩石から化石を取り出す「プレパレーション」(化石クリーニング)作業の実演も実施されています。
30年以上にわたり第一線で化石発掘やクリーニングをおこなっているクライヴ・コイ(Clive Coy)さんが、2014年にカナダ・アルバータ州で見つかった白亜紀の小型獣脚類サウロルニトレステスのクリーニング作業を実演(日にちによっては別の担当者による化石クリーニングとなります)。
見学した時に行われていたのは、スコープを覗きながらの精密な作業で、まるで最新の外科手術のよう。実演は期間が決まっていますので、公式サイトでご確認ください。
慎重に進められるプレパレーション(化石クリーニング)恐竜展=夏休み、と思っている方も多いようですが、本展は6月12日(日)まで(夏の科博は「海のハンター展」)です。お間違えのないように。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2016年3月7日 ]■恐竜博2016 に関するツイート