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    レポート
    長くつ下のピッピの世界展 ~リンドグレーンが描く北欧の暮らしと子どもたち~
    東京富士美術館 | 東京都
    世界中で愛される、そばかすだらけの女の子
    赤毛のツインテール、そばかすの顔、そして長い靴下を穿いている9歳の女の子“ピッピ”。アストリッド・リンドグレーンが70年以上前に書いた物語は、世界中で読み継がれてきました。「長くつ下のピッピ」を中心に、リンドグレーンの世界を紹介する展覧会が、東京富士美術館で開催中です。
    会場
    アストリッド・リンドグレーン作・画《オリジナル・ピッピ》1944年 カーリン・ニイマン(ストックホルム、スウェーデン)
    (左手前から)イングリッド・ヴァン・ニイマン画《漫画“ピッピ、買いものにいく”原画》1957~1958年 / イングリッド・ヴァン・ニイマン画《漫画“ピッピ、無人島へいく”原画》1957~1958年 ともにスウェーデン王立図書館(ストックホルム、スウェーデン)
    (左手前から)イングリッド・ヴァン・ニイマン画《『長くつ下のピッピ』出版社用ポスター原画》1940年代後半 アストリッド・リンドグレーン社(ストックホルム、スウェーデン) / イングリッド・ヴァン・ニイマン画《『こんにちは、長くつ下のピッピ』挿絵案原画(未使用)“ピッピ、手紙をかく”》1996年、アストリッド・リンドグレーンのサイン入り 1947年 セリエギャラリーエット(ストックホルム、スウェーデン)
    (左から)イングリッド・ヴァン・ニイマン画《『ピッピとうたおう』挿絵原画 “ピッピ、南の島のパパと”》1948~1949年 / イングリッド・ヴァン・ニイマン画《『ピッピとうたおう』挿絵原画 “ピッピ、学校で”》1948~1949年 ともにアストリッド・リンドグレーン社(ストックホルム、スウェーデン)
    (左奥から)《花柄のズボンをはいたピッピのペーパードール》1959年 / 《ピンクのベストを着たピッピのペーパードール》1947~1949年 / 《青少年のための脚本集の表紙スケッチ》1959年 すべてヴァイエン美術館(ヴァイエン、デンマーク)
    (左から)ファシット社《タイプライター》制作年不明 / アストリッド・リンドグレーン作《速記ノート(複製)》制作年不明 ともにアストリッド・リンドグレーン社(ストックホルム、スウェーデン)
    (左から)イロン・ヴィークランド画《『小さいロッタちゃん』表紙原画》1992年 セリエギャラリーエット(ストックホルム、スウェーデン) / イロン・ヴィークランド画《『ロッタちゃんとクリスマスツリー』挿絵原画》1977年 アストリッド・リンドグレーン社(ストックホルム、スウェーデン)
    リサ・ラーソンによるピッピ人形 中央は、リサ・ラーソン(グスタフスベリ社)《長くつ下のピッピ(ヴィンテージ)》1969-1971年 アストリッド・リンドグレーン社(ストックホルム、スウェーデン)
    日本でも書跡のほか、NHKで放映されたテレビドラマ、劇場版映画などで知られる「長くつ下のピッピ」。世界一の力持ちのピッピが、友だちのトミーとアニカと一緒に冒険を繰り広げるストーリーです。

    作者はスウェーデンの児童文学作家、アストリッド・リンドグレーン(1907-2002)。1941年、リンドグレーンは風邪で寝込んでいた愛娘を喜ばせるために、天衣無法な女の子の物語を即興で語った事が、物語誕生のきっかけになりました。リンドグレーンの著書は、全世界100カ国語以上で翻訳され、出版部数は総計1億6000万部以上発行されるなど、世界中で楽しまれています。

    展覧会は、ピッピをはじめ多くの子ども向け作品を生み出し、「子どもの本の女王」とまで称されるリンドグレーンの世界を、幅広く紹介する企画。出展された原画やオリジナル原稿、愛用品など約200点は、その多くが日本初公開となります。

    会場冒頭には、リンドグレーンがタイプして娘の誕生日に贈った、オリジナルのピッピ原稿が。イラストもリンドグレーンが描いたもので、スウェーデン国外初出展という貴重な作品です。

    大きなスペースで紹介されている「長くつ下のピッピ」の中で、見どころのひとつが絵本の世界を再現した「ごたごた荘」の大型模型。馬とオナガザルと一緒にピッピが住む大きな家が「ごたごた荘」。トミーとアニカも遊びに来ています。



    会場中盤では、リンドグレーン自身についての紹介も。リンドグレーンはスウェーデンの20クローナ紙幣の肖像になっている、国民的な作家です。

    子ども対する優しい眼差しを持ち、社会に対しても積極的に発言したリンドグレーン。1978年にはドイツ書店協会平和賞の授賞式で、暴力に反対するスピーチを行っています。その翌年、スウェーデンでは世界に先がけて、子どもへの体罰が法的に禁止されました。

    後半ではピッピ以外の作品も。「やかまし村の子どもたち」「ちいさいロッタちゃん」など、魅力的な作品が並びます。

    日本を訪れた事はありませんが、自宅には能面が飾られるなど日本に思いを寄せていたリンドグレーン。ピッピの挿絵を描いたイングリッド・ヴァン・ニイマンも日本を愛し、北斎などの浮世絵を模写しています。

    ようやく実現した、日本での「長くつ下のピッピ展」。東京展の後には宮崎、京都、名古屋、福岡、愛媛と全国を巡回します。会場と会期はこちらでご確認ください。

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2018年7月27日 ]

    長くつ下のピッピ長くつ下のピッピ

    アストリッド・リンドグレーン(著),桜井 誠(イラスト),大塚 勇三(翻訳)

    岩波書店;新版
    ¥ 734

     
    会場
    会期
    2018年7月28日(土)~9月24日(月・祝)
    会期終了
    開館時間
    10:00~17:00(受付は30分前まで)
    休館日
    月曜日(ただし、9月17日は開館)、9月18日(火)
    住所
    東京都八王子市谷野町492-1
    電話 042-691-4511
    公式サイト http://www.pippi-ten.com
    料金
    大人 1300(1000)円 / 大高生 800(700)円 / 中小生 400(300)円 / 未就学児 無料

    ※新館常設展示室もご覧になれます
    ※土曜日は中小生無料
    ※( )内は各種割引料金(20名以上の団体・65歳以上の方・当館メルマガ登録者ほか)
    ※障がい児者、付添者1名は半額(証明書をご提示下さい)
    ※誕生日当日にご来館された方はご本人のみ無料(証明書をご提示下さい。休館日の場合は適用できません)
    展覧会詳細 「長くつ下のピッピの世界展 ~リンドグレーンが描く北欧の暮らしと子どもたち~」 詳細情報
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