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広重の風景画の登場人物、生活、仕事、旅老若男女の日常はもとから好きだった。北斎のような派手なアクションはないが、楽しさがある。で、その中でもおじさんにスポットライトを当てたこの展覧会の企画がなんともにくい。おじさんをピックアップしたら広重の魅力が倍増した。風景に埋もれていたおじさんに注目したところがなんともすごい視点だと思う。「御油 旅人留女」は何度みてもワハハであるが、これに匹敵するワハハが数知れずある。
「伊勢参宮宮川の渡し」「堂じま米あきない」はどっちもたくさんのおじさんが出てくるが、レジャーのほっこりさと相場の喧噪感が対照的で面白かった。仕事をするおじさんのなんとなく間が抜けてる顔が多いなかで、米相場の殺気だった面々は広重のおじさんにはあまりなかったと思う。
ところでおじさんをじっくり見ていたら、横にいるおばさんも実に魅力的だ。広重は美人画が苦手だったと聞くが、普通のおばさんはすごく表情豊かだ。太田記念美術館さん、次回は広重おばさん図譜やってください。