《竜の夢(ドラゴンズドリーム)》 谷中安規 1939年
東京国立近代美術館
詩的で幻想的な心象風景を自由奔放に木版に託した谷中安規の作品には、ほのぼのとした裸の子供や女性がしばしば登場します。本作《竜の夢》もそのひとつで、ここでは裸婦がとりすました表情でくつろいでいます。その裸婦を前景に大きく描き、中景に金魚鉢を据えて、ひろがりと奥行きを見せる画面構成はしっかりとして緊密。雲、机の脚、布地の模様、と旋回する形を繰り返すことで画面に動きを与えています。谷中の後期の版画の質の高さを示す力作です。
「大堀哲記念ミュージアム・マネージメント推進賞」を受賞しました