《珉平焼 龍紋小判形小皿》
濃厚な緑色の釉薬で彩られた珉平焼の小皿で、南あわじ市の窯跡から出土しました。
珉平焼は江戸時代後期の文政年間(1818~30)に賀集(かしゅう)珉平(みんぺい)が創始したやきもので、その技術は淡陶(だんとう)社(明治16年創立、後の淡陶株式会社)に受け継がれ、明治から大正にかけて陶器生産を拡大し、国内だけでなく海外向けの作品も製作、輸出していました。
窯跡の発掘調査では、粘土を押し当てて製品を作るための「型」も数多く出土しており、龍が描かれたものは約1,000点、なかでも写真のような小判形の小皿の型は約350点を数えます。さらに、この「型」を作るための「元(もと)型」も見つかっており、需要の高さと大量生産のための工夫がうかがえます。
海外を意識したような釉薬の発色と、東アジアを思わせる龍のデザインがおもしろい作品で、開国後の日本の商品経済を考える上でも貴重です。
担当者からのコメント
本作品は、兵庫県立考古博物館のメインホールの小ケースで、1月2日(火)から3月3日(日)まで展示しています。淡路を代表する珉平焼の生産と流通の一端を、今年の干支である龍とともにご覧いただけます。