《火消半纏 龍に纏文》
町火消の衣装である長半纏で、重ねた藍木綿地に全面びっしりと刺子をほどこしています。波間から顔を出した龍と、火事場の目印となる纏(まとい)の柄は、じつは裏絵。右袖に描かれているのは龍が握る宝珠です。火消の心意気を示す裏勝りのお洒落です。
担当者からのコメント
江戸の火消たちは、分厚い半纏を身に着けてざんぶと水をかぶり、火の中に飛び込みました。火事を収めると、半纏を裏返して羽織って見せたのが、このようなカッコいい絵文様だったとされますが、実際は歌舞伎などで演じられる火消の見立てのポーズだろうと言われています。
いずれにせよ、火の粉の舞うなか命を賭して消火にあたる消防士は、今も昔もヒーロー的存在だったんですね。