《鉄自在龍置物》明珍 江戸時代(18世紀)
佐賀藩主・侯爵鍋島家に伝わった、全長35.7cmの小さな龍の自在置物。細かな鉄のパーツを組み合わせ、胴体や手足などが自由自在に動くように作られている。本品は、東京国立博物館所蔵の全長1mを超える自在龍などと比べれば小ぶりで、顔つきにも愛嬌が溢れているが、46個のパーツからなる胴体は端正で、髭や舌、足や爪先に至るまで自在に動かせるつくりになっている。胴部は背鰭付魚鱗刻入胴環を重ね連ね、眼玉は金箔押。顎に「明珍」の銘があることから、本来は甲冑師であった明珍一派による製作とわかる。江戸も中期以降、泰平の世になるにつれ甲冑の需要が少なくなり、鉄を扱う技術を応用してこうした自在置物が制作されたと考えられる。
担当者からのコメント
徴古館のYouTubeチャンネルで、動く様子をご覧いただけます。
細部までしなやかに動くため、動物を触っているかのようで愛着が湧いてきます。
凛々しい立ち姿ですが、正面から見ると意外と可愛らしい表情をしていますよ。
佐嘉神社記念館にて1月31日まで展示していますので、ぜひご覧ください。
https://youtu.be/nmHUfDzHtF0?si=LjejgsnfQDsacCrp