《雲龍図》
作者は不詳ですが、制作年代は17世紀頃と考えられる作品です。
この作品は、昭和52年に八幡市が、松花堂庭園の旧所有者である塚本清(素山)氏から譲り受けた所蔵品のひとつです。昭和40年代頃には、泉坊の書院(主室)南西面の大床に掛けられていました。
担当者からのコメント
≪雲龍図≫が昭和40年代頃に掛けられていた泉坊は、かつて石清水八幡宮のある男山の中腹に存在した僧坊です。石清水八幡宮の社僧・松花堂昭乗(1584~1639)はその敷地内に「松花堂」という小さな方丈の草庵を建て、隠居所としました。明治の神仏分離令のもと、男山山中から取り払われた部材を井上伊三郎という人が譲り受け、現在松花堂庭園・美術館がある場所へ移築しました。今から115年ほど前のことです。
長くうねった胴体と鋭い爪を雲間から覗かせます。あらゆる魔を払ってくれそうな頼もしい姿です。鋭いけれども、どこか愛嬌のある龍の顔が見どころです