《龍》 木喰上人(木喰五行明満)1718-1810 江戸時代・寛政10(1798)年
若くして仏門に入り、45歳で木喰戒(木の実や果実のみを食す修行)を受けた木喰上人は、50代半ばで全国行脚に出ます。木喰戒を守りつつ、各地で寺を再興し仏像を刻みながら旅を続け93歳で生涯を終えました。木喰上人は生涯で1000体以上の仏像を刻んだといわれ、その型にはまらない自由な作風は円空と並び称されています。
その木喰上人は寛政10(1798)年、鳥取(因幡国・伯耆国)を訪れて多くの仏像を残しました。その一時に三朝温泉で描かれたのがこの作品です。一筆で描かれた龍は縁起がいいとされますが、この画(もしくは書)からも木喰上人の自由奔放さがうかがえます。
担当者からのコメント
渡辺美術館では本作品をはじめ、中近世から近代の龍にまつわる縁起物――絵画・工芸・武具・仏具の数々を数十点展示する企画展「吉祥 昇龍展 ~古より人々が龍に願いを託した縁起物の数々」(2023.12.23-2024.2.4)を開催しています。ぜひ足をお運びください。