《倶利伽羅龍図》 藤堂高近筆 絹本着色 三幅のうち 江戸時代
不動明王が災厄を切り裂く利剣に、龍が巻き付いた姿は、不動明王の化身と崇められた。本幅はともに制作された昇龍、降龍の三幅の一つで、本尊に相当する。描いたのは4代津藩主の藤堂高近(のち高睦、1667~1708)で、三幅対を川喜田家当主に下賜した。
担当者からのコメント
重い画題のわりに、龍の表情はどこかひょうきんです。本作に示された高近の画技は決して巧みとは言えませんが、お殿様がたわむれに描いた絵画として、また伊勢商人・川喜田家との結びつきを示す歴史資料として、興味深い作品です。