《染付 吹墨白兎文 皿》 伊万里 江戸時代(17世紀前期) 口径21.0㎝ 戸栗美術館所蔵
白兎があらわされた初期伊万里の皿。1610年代に日本初の国産磁器として誕生した伊万里焼の中でも比較的早い時期の作例は「初期伊万里」と呼ばれ、白地に青色で文様を表現した「染付(そめつけ)」作品が多く見られます。本作では、兎・雲・短冊の部分はそれぞれの形に切った型を置いて呉須(ごす)顔料を吹き掛けた後、輪郭線を書き足して白抜き文様を表現する吹墨(ふきずみ)の技法が用いられています。
担当者からのコメント
吹墨は中国の古染付に見られる技法であり、初期伊万里は技法面でも意匠面でも中国磁器の影響を受けていることがうかがえます。ただし、兎文様に関しては、古染付とは異なり初期伊万里作品では長い耳と丸くつぶらな瞳を持つ愛らしさを感じさせる容姿のものが多いようです。
新年には、『開館35周年記念特別展 初期伊万里・朝鮮陶磁』(2023年1月15日(日)~3月26日(日)開催予定)にて本作をはじめ、初期伊万里作品を多数出展いたします。是非、ご覧ください。