《卯方日出印》 和田邦坊
大きな瞳の白ウサギ。見返り姿もチャーミングです。ウサギの体には、松竹梅の吉祥文を描き出し、また卯の方角(東)から昇る朝日が表現されています。邦坊は「朝日」や「曙」など1日の始まりや朝の訪れを好んで描く画家でした。2023年、東の方角を司るウサギが初日の出を連れてきてくれると思うとちょっとワクワクした気持ちになりますね。飛躍の年、吉祥の1年となりますように。
担当者からのコメント
香川県出身の画家・和田邦坊(1899-1992)が描いた色紙絵です。邦坊は風刺漫画《成金栄華時代》の作者として有名ですが、戦後は香川に戻りデザイナーや商業プロデューサー、画家として活躍した人物です。とても几帳面な性格だったようで年末になると来年の干支を色紙に描き、職場でお世話になった人たちにプレゼントしていたといいます。美術館で色紙絵を展示していると「我が家にも同じ作品があります!」という声がチラホラと届きます。年賀状だけでも大変ですが、邦坊画伯は何十枚も色紙絵を描いていたと思うと本当に忙しい年末だったことでしょう。ぜひ作品をお持ちの方には、12年ごとのお楽しみとして大事にしていただきたいです。