《月下兎図》 西山完瑛筆 明治23年(1890)
大きな月の下に、二羽の白と黒の兎がいます。丸々とした愛らしい姿に描かれており、この姿は江戸時代の絵画に新風を吹き込んだ円山応挙の作品に近い表現です。本作品の筆者は江戸時代末期から明治時代前期にかけての大阪で活躍した西山完瑛(1834~1897)です。彼は四条派の絵師であった父の芳園に絵を学び、儒学も修めて絵画のみならず文学にも通じていました。本図は寅年の年11月の作と記されていますので、翌年の卯年のために描かれたのでしょう。
担当者からのコメント
1月25日(水)から3月21日(火・祝)まで、特集展示「銀行重役のコレクション-京・大坂の近世絵画を中心に-」にて展示予定です。愛らしい兎をぜひご覧ください!