盛岡藩家老席雑書(もりおかはんかろうせきざっしょ) 慶安2年(1649)6月23日条
盛岡藩の家老が代々書き綴ってきた政務日誌「盛岡藩家老席雑書」(以下、「雑書」)に登場する牛乳の記録をご紹介します。
「雑書」において確認できる牛乳に関する最古の記録は、慶安2(1649)年6月23日の記事で、「太田安右衛門牛乳六筒、江刈・葛巻両所ニて取、次飛脚ニて為持上ル、今日午刻来着」と記されています(※左ページの9行目にご注目ください)。「雑書」にはこれ以降、12 年間にわたり「牛ノ乳取」や「牛ノ乳しおり(しぼり)」という名目で藩内各地に赴いた藩士たちが、盛岡に牛乳を送ったことが記録されています。
担当者からのコメント
彼ら牛乳取りの任務を担った藩士がついていた役職の詳細は不明ですが、当館では便宜上「牛乳侍」と呼んでいます。残念ながら、これらの牛乳の用途や盛岡に届いて以降の移送、加工の有無について記録された資料は現段階では発見されていません。果たして「牛乳侍」が絞った牛乳は一体どこに消えてしまったのでしょう・・・。
ちなみに、江戸時代に牛乳を利用していると思しき記述は「盛岡藩家老席雑書」が初出といわれていますが、この他にご存知の方がいらっしゃいましたら、コメント欄にてぜひ教えてください。