御殿づくりの雛飾り 1900年代(明治から大正にかけて)、愛知県尾張地方
当館に所蔵されている「御殿づくりの雛飾り」は、時代をさかのぼると東北や尾張地方の富裕層に広がった。御殿飾りは、京の御所・紫宸殿(ししんでん)を模した「御殿」に天皇皇后を模した内裏雛のお人形を飾ったもの。たくさんの人形や道具を飾るために段飾りが流行した関東に対し、京都の御所での生活を華やかに細かく再現した関西版の雛人形が「御殿飾り」だったといえる。明治・大正までは京阪神で一般的だった御殿づくりだったが、昭和30年代後半に姿を消してしまった。御殿自体が大きく複雑で、収納も不便で組み立てにくいことが理由だったようである。