東萊里の朝・萬年台の夕 都路華香(1870-1931) 1920年(大正9年) 紙本着色 軸 対幅 各168.1 × 90.5 cm 京都市美術館蔵
左幅には朝餉の支度に勤しむ女性、右幅には丘の上で草を食む牛たちと一日を見送る男性の姿が描かれる。青、緑、茶を中心とする色彩の中で、人々の衣服の白が目を射る。朝鮮を訪れその風俗に取材し、縦長画面に大胆な構図で異国の情景を表している。
作者:都路華香(1870-1931)Tsuji Kako
京都市に生まれる。本名辻宇之助。幸野楳嶺に師事し、その門下の四天王の一人に数えられる。博覧会等で好成績をおさめ、文展に第1回から出品、10、11回文展で連続して特選となる。帝展審査員、帝国芸術院会員。京都市立美術工芸学校、同絵画専門学校の校長をつとめ、門下からは富田溪仙らを輩出した。禅に傾倒し、建仁寺の黙雷禅師に参禅して、作品に精神性を盛り込む一方、西洋画の影響を感じさせる新技法を積極的に取り入れ、斬新な作風を拓いた。