大根喰う(大黒)江夏英璋 制作年不詳
都城市立美術館「大根食うねずみ」を「大黒ねずみ」にかけて、大黒天の使いとされた鼠と大根がモチーフとなっています。墨の潤滑と簡潔な筆勢を活かしながら、大根のみずみずしい量感と鼠の軽快さを対比的に描いています。
作者の江夏英璋(えなつえいしょう/1876~1946年)は宮崎県都城市出身の日本画家です。初めは郷里にて独学し、後に上京し円山派の川端玉章、川合玉堂に師事。東京や長野で寺院の壁画を描き、雪景山水を得意としました。宮崎県内に残された作例は、孔雀や鶴など緻密な花鳥画、山水画、仏教的主題などがあり、何れも穏やかな画風を示します。飫肥城下の旧高橋源次郎家に板絵、襖絵が残されています。
担当者からのコメント:鼻先や耳、手足にわずかに施された朱色が、鼠の愛らしさを引き立てています。