《鼠狐言帰図巻》 (部分)菊池容斎 明治5年(1872) 紙本着色・巻子
泉屋博古館分館絵巻の前半部分となるこちらの場面には、桜咲く春に大名行列の蔵から蔵へ行列している鼠の嫁入りが描かれています。図巻の後半には狐の嫁入りが描かれていますが、鼠と狐という異類の嫁入りを大名の輿入れになぞらえて擬人化した表現は、幕末から明治期にかけて流行しました。
故事や歴史に取材した謹厳な歴史画家というイメージが強い容斎ですが、この絵巻では、四条派の筆さばきに親しい描法で気楽に描いた様子がうかがえます。
担当者からのコメント:こちらの作品はあまり展示される機会がありませんが、可愛いねずみさんたちがたくさん登場します。