染付子犬に雪図花瓶川本枡吉 瀬戸 明治時代(19世紀)
愛知県陶磁美術館愛らしい子犬が描かれた花瓶です。
川本桝吉は、瀬戸で初めて輸出用の洋食器を制作したとされる窯屋で、三代にわたって染付を中心に陶磁器生産を行いました。
本作品は、雪景色を描いた一対の花瓶です。雪が積もってたわんだ竹から冬の寒さがうかがえる中で、雪を気にすることなく戯れる三頭の犬の姿が見る人を微笑ませます。柔らかい雪は吹絵(吹墨)技法で、鋭い竹の葉は濃淡をつけて力強く、子犬の毛並みは繊細な描線で表現することで、画面全体にリズムを生んでいます。
また、竹之下に子犬を描くモチーフは、「竹かんむり」に「犬」で「笑」字になることから、「一笑図」という吉祥図として、江戸時代の画家たちによく用いられたものです。
担当者からのコメント:2018年1月14日まで、本館2階で展示中です。ぜひご来館ください。