第29回 高田みちよ(高槻市立自然博物館 主任学芸員)
きしわだ自然資料館の風間さんからご紹介いただきました、高槻市立自然博物館(あくあぴあ芥川)の高田です。
高槻市は淀川の一次支川である芥川を中心軸とした町づくりをしてきました。この施策の中で当館は「地域の交流拠点」として1994年に開館しました。直営、委託、指定管理と運営形態が変わり、2009年からは「あくあぴあ芥川共同活動体」が運営しています。(NPO)大阪自然史センターと(NPO)芥川倶楽部の、どちらも自然をテーマにしたNPOのジョイントベンチャーという構成は珍しいとのことです。「小規模ミュージアムネットワーク(小さいとこネット) http://chiisaitoko.web.fc2.com/ 」の事務局を担当しておりますので、ご興味がありましたらご連絡ください。
当館のミッションは「たかつきの自然がわかるみんなの博物館」で、たかつきの自然を「みんな」で調べ、わかったことを「みんな」に共有する、としています。「みんなの」を実現するために、「あくあぴあ部活プロジェクト」があります。現在13部が活動しており、部ごとにテーマを持ち、それぞれに運営されています。例えば、ハグロトンボしらべ隊はハグロトンボのマーキング調査を行っています。川でハグロトンボを捕まえてペンでマークがかける人であればどなたでも参加できるので、小さな子どもたちも大人と一緒に参加しています。ナガエツルノゲイトウバスターズは特定外来生物の水草ナガエツルノゲイトウを駆除する部、芥川おそうじ隊は川のゴミ拾いをする部です。ご来館の際には展示だけでなく、部活動にもご興味を持ち、さらには参加していただければと思っています。
高槻市立自然博物館(あくあぴあ芥川)
私のおすすめミュージアム
伊丹市昆虫館
私のおすすめのミュージアムは、兵庫県伊丹市にあります伊丹市昆虫館(いたこん)です。いたこんは昆虫を主に扱う博物館で、生きた昆虫や標本の展示、個性的な特別展や企画展、講座や地域での活動、資料の保存、調査などの活動をしています。それらの活動を、スタッフだけではなくさまざまな人に関わっていただき、昆虫のことはもちろん、自然のこと、地域のことなどをネタに、みんなで一緒に調べたり、学んだり、楽しむことで続けています。昆虫をじっくり観察したり、発見したり、ワイワイ楽しんだり、のんびりまったりしたり…心のままに昆虫館を楽しめ、居ごこちの良い場であろうと、日々がんばっておられます。
いたこんは昆陽池公園の中にあります。昆陽池は奈良時代の名僧、行基が築造した農業用のため池で、1968年に公園となり、公園の一角に市政50周年記念として1990年にいたこんが開館しました。公園の園路を歩いていくと、モザイクタイルの建物に到着します。館内に入るとミュージアムショップにたくさんの昆虫グッズが並んでいて、そこで足が止まります。巨大なミツバチの模型、色とりどりの花と乱舞するチョウの温室、行くたびにマイナーチェンジする常設展示、ゴキブリやイモムシなどの嫌われ昆虫を楽しい切り口で紹介する企画展などなど、見どころ満載です。
私が特におすすめするのは学習室です。広い部屋にたくさんの昆虫関係の本があり、座って調べものができるだけでなく、イモリやカメなどの昆虫以外の生き物も展示されています。チョウの温室に放す前の幼虫が植木鉢の葉っぱを歩いていたり、タイミングがよければ黄金色に輝くオオゴマダラのサナギからチョウが羽化するところが見られるかもしれません。平日の午後2時に羽化したチョウを温室に放すので、手伝わせてくれるかもしれません。標本箱に土を入れずにアリを飼育しているので、アリの巣の中での動きを観察することもできます。これだけの生きた昆虫を見られるのは、いたこんならでは、でしょう。スタッフの皆さんの昆虫への愛があふれています。
伊丹市昆虫館 学習室
伊丹市昆虫館 チョウ温室