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    レポート
    アーティスト・ファイル 2015 隣の部屋 ── 日本と韓国の作家たち
    国立新美術館 | 東京都
    現代美術、12の断面
    現在のアートシーンで精力的に活躍している現代美術家を、個展の集合体の形で紹介するグループ展「アーティスト・ファイル」。今回は日本から6名と韓国から6名の合計12名が参加しました。
    イ・ソンミの作品
    キ・スルギの作品
    ヤン・ジョンウクの作品
    南川史門の作品
    イ・ヘインの作品
    小林耕平の作品
    イ・ウォノの作品
    イム・フンスンの作品
    手塚愛子の作品
    2008年からはじまり、09年、10年、11年、13年と過去5回にわたって開催されてきた「アーティスト・ファイル」展。国立新美術館の広い展示室を使い、個展の集合体という形で現代美術の最前線を提示してきました。今回は韓国国立現代美術館との共同企画、作家も日韓が6人ずつという構成になりました。

    出展12作家の中で一番印象に残ったのが、会場入ってすぐのヤン・ジョンウク(1982-)の作品。木の棒や糸、布などで組み上げられた大型の構造物で、一部がモーターで動いています。その作品は、まず感情や想いを短い詩や文章にし、そのテキストに対応する動く構造物をつくる、という制作プロセス。プリミティブなつくりで、動きにともなう音も印象に残ります。


    ヤン・ジョンウク(1982-)の作品

    会場の照明を受けて清々しく輝く緑色のガラス作品は、イ・ソンミ(1977-)によるもの。実は作品の素材は、事故によって割れて道に散らばったガラス片や、透明で可変性のある捨てられたものなどが使われています。不幸なストーリーを経た素材が丁寧な手作業で生まれ変わり、新しい命が吹き込まれたかのように輝きます。


    イ・ソンミ(1977-)の作品

    段ボール製の巨大な家は、イ・ウォノ(1972-)の作品。ソウルや東京のホームレスから段ボールの家を購入して集め、大きな家を組み上げました。会場壁面にはホームレスとの売買契約書とともに、制作過程(ホームレスとの交渉風景)の映像も上映されています。


    イ・ウォノ(1972-)の作品

    既成の織物を解きほぐした作品は、手塚愛子(1976-)によるもの。手塚は武蔵野美術大学では油画科に在籍していましたが、カンヴァスに刺繍を施す作品から発展し、織物を解体する造形へと歩を進めました。二次元と三次元の間を行き来するような手法で、さらなる発展も期待できそうです。


    手塚愛子(1976-)の作品

    「隣の部屋」という展覧会の副題は、個展形式を引き継いでいる事に加え、地理的に近い両国を表しての事。本展も国立新美術館での開催の後には、韓国国立現代美術館(果川館)に巡回します。日本の美術家が「隣の部屋」に住む人にどんな評価をされるのか、ちょっと楽しみです。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2015年7月28日 ]

    TOKYO美術館2015-2016TOKYO美術館2015-2016

     

    エイ出版社
    ¥ 999


    ■アーティスト・ファイル 2015 隣の部屋 ─ 日本と韓国の作家たち に関するツイート


     
    会場
    会期
    2015年7月29日(水)~10月12日(月・祝)
    会期終了
    開館時間
    <企画展>
    10:00~18:00
    ※当面の間、夜間開館は行いません。
    ※入場は閉館の30分前まで
    <公募展>
    10:00~18:00
    ※美術団体によって、異なる場合があります。
    ※入場は閉館の30分前まで
    休館日
    火曜日休館 ただし、9月22日(火)は開館
    住所
    東京都港区六本木7-22-2
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://www.nact.jp/exhibition_special/2015/af2015/index.html
    料金
    一般 1,000(800)円/大学生 500(300)円
    ※()内は前売料金及び団体料金
    展覧会詳細 「アーティスト・ファイル 2015 隣の部屋 ── 日本と韓国の作家たち」 詳細情報
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