柳宗理の世界を探る
section1 柳宗理の歩み展示風景
島根県立美術館で「柳宗理デザイン 美との対話」が開催されています。
誰もが見たことのある懐かしいデザイン。そこには民藝に通底する「用の美」が感じられます。
柳宗理の代表作や歩み、山陰とのかかわりなどご紹介します。
写真は、バタフライスツールと呼ばれる代表作で、いくつかのバリエーションがあります。
代表作の椅子を体験
エントランスロビー チェア体験コーナー
おなじみの椅子ですが、目にしたことはあっても、実際に座ったことがある方は少ないはず。
展覧会では、無料開放されているロビーで、誰でも座る体験ができます。
蝶が羽根を拡げたような形は、合板を圧力で曲げる最新技術で作られました。
MoMA美術館で永久保存され、美しさと機能を備えた椅子です。
また《エレファントスツール》の体験もできます。この機会をお見逃しなく!
日用品の用の美
馴染み深いキッチン道具やお鍋も展示されています。
section2 柳宗理の世界展示風景
「早く沸くヤカン」や、何気ないデザインの鍋の蓋が持つ機能が図解されています。
section2 柳宗理の世界展示風景
宗理は「芸術は人間生活のためにあり、社会性を持たねばならない。科学的技術を積極的に肯定して、そこから新しい美が生まれる」と語っています。
まさに機能と形が科学の裏付けによって、美と融合したようです。
テープカッターや、定規もデザインしました。
section2 柳宗理の世界展示風景
蛇口やガス栓は、デザインされたことや、機能、美を感じることなく使ってきました。
暮らしに溶け込んでしまい、意識されなくなった美しさこそが無意識の美なのかもしれません。
section2 柳宗理の世界展示風景
島根の出西窯で初めて作ったデザインが手前のキャセロールです。
耐火陶土がなく直火ができませんでしたが「JAPAN FORM」展に出品しました。
ドイツから30個の注文が入り製造した記録がありますが、歩留まりが悪く試作で終わります。
(手前)《キャセロール》出西窯 1960年
装丁も手掛ける
『東京国立博物館』 講談社 1966年 柳工業デザイン研究会
本物の羊皮を表紙に使った豪華本は、東京国立博物館の書籍です。
宗理は装丁の仕事もしており、シンボルマーク、ロゴ、レイアウトデザインなどを担当しました。
アートライブラリーでもお楽しみ
島根県立美術館には、観覧券がなくても楽しめるスペースが、中2階にもあります。
時間や季節で変化する宍道湖の様子を感じながら、美術書を閲覧できます。
この日は雪が降り出しました。
アートライブラリー
棚に目を向けると、宗理が装丁した「東京国立博物館」の美術書を発見。
羊皮の豪華本の感触を手に感じながら、中を見ることができました。
野外彫刻と夕日
つなぎ石作品35 山根耕 1998年
日没に合わせ、閉館時間が変わることでも有名な島根県立美術館。
前の公園には野外彫刻が展示され、無料開放しています。
宗理は世界を旅し、土地に根差した暮らしをカメラに収め『民藝』に掲載しました。
現代において、よいもの美しいものとは何かという考えも示しています。
公園の彫刻は島根の風土や暮らしを表現しているように感じました。
美しい夕日や彫刻も交えて、展示作品を見たり体験することができます。
「美」とは何か、自ずと考えさせられる展覧会です。
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