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    レポート
    江戸の美男子 ─若衆・二枚目・伊達男─
    太田記念美術館 | 東京都
    250年たっても、イケメンはイケメン
    リアルなイケメンが日本一多い(?)表参道ですが、一本入った太田記念美術館も負けていません。250年前のイケメンが300人集まりました。
    歌舞妓堂艶鏡《三代目市川八百蔵》(左)
    宮川一笑《色子(大名と若衆)》たばこと塩の博物館蔵(左)
    勝川春章《桜下詠歌の図》
    鳥居清広《汐干狩》(右)
    鈴木春信《風流うたひ八景 ゑびらの晴嵐》(右)
    喜多川歌麿《忠臣蔵 四段目》(右)
    鳥高斎栄昌《業平朝臣初冠略》(右)
    勝川春洞《千話鏡月の村雨 糸屋 妹小いと 佐七 姉おふさ》(左)
    菊川英山《江戸の花役者ひいき 尾上賀朝》(右)

    浮世絵のジャンルで「美人画」は有名ですが、美男は? 実は、美しくてカッコいい男性も浮世絵には頻繁に登場します。


    前髪を残した元服前の美しい少年「若衆」、歌舞伎役者の看板で一枚目に主役、二枚目に美男役を配したことに由来する「二枚目」、粋でしゃれた「伊達男」。展覧会では三章にわたって美男が続々と登場します。



    会場


    男性を魅力的に描いた絵師も、鈴木春信、鳥居清長、喜多川歌麿、葛飾北斎、歌川国芳など多数。


    会場にはさまざまな時期の浮世絵が並ぶので、墨一色の墨摺絵、墨の部分に膠を入れた漆絵、多色になった紅摺絵、そして錦絵と、時代ごとの表現も楽しむことができます。



    奥村政信《二人虚無僧》、鈴木春信《桜》、鈴木春治《立美人と若男》


    凛々しい眼差しの大首絵は、歌舞妓堂艶鏡(かぶきどうえんきょう)の三代目市川八百蔵。展覧会のメインビジュアル(8月1日からの後期展示)は別ですが、そちらも同じ八百蔵が演じる梅王丸の大首絵。絵師も同じ艶鏡です。


    三代目市川八百蔵は、没後に記された評判記で五代目松本幸四郎、三代目尾上菊五郎とともに「姿かつかうのよい人」、すなわちイケメンと評された人物。なるほど、なかなかの男前です。


    歌舞妓堂艶鏡は謎の多い人物で、遺作は7点しか確認されていません。写楽に触発されたともいわれる大首絵を遺しています。



    歌舞妓堂艶鏡《三代目市川八百蔵》


    彫物は水滸伝からの影響で、18世紀後半から流行しはじめました。


    幕府は風俗を乱すとして禁止しましたが、侠客、博徒、鳶、火消し、飛脚、駕籠かきなど、普段から肌を露出する機会が多く、力を必要とする人たちの間では人気が衰えませんでした。



    歌川国貞(三代歌川豊国)《戻駕篭櫓三真意》 彫物は漢(オトコ)の身だしなみです


    担当学芸員の赤木美智さんは、まず「見た目の美しさ」で展示作品を選んだところ、前述の評判期に上げられている三代目市川八百蔵、五代目松本幸四郎、三代目尾上菊五郎を見事にピックアップできた、との事。


    200年以上時代が変わってもイケメンはイケメンである、と解説されていましたが、赤木さんの男を見る眼もなかなかです。

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2013年7月1日 ]


    知識ゼロからの浮世絵入門

    稲垣 進一 (著)

    幻冬舎
    ¥ 1,365

    会場
    会期
    2013年7月2日(火)~8月25日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:30~17:30(入館17:00まで)
    休館日
    月曜日休館 ただし7月15日(月祝)は開館、7月16日(火)は休館、7月29日~7月31日(展示替えのため)
    住所
    東京都渋谷区神宮前1-10-10
    電話 03-5777-8600
    公式サイト http://www.ukiyoe-ota-muse.jp
    料金
    一般 700円/大高生 500円
    ※中学生以下無料
    ※10名以上の団体は一人当たり100円引き
    展覧会詳細 江戸の美男子 ─若衆・二枚目・伊達男─ 詳細情報
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