<ギャグマンガの異才・谷岡ヤスジ>
谷岡ヤスジ(1942-1999年)は、大阪万博や安保闘争で揺れる1970年『週刊少年マガジン』(講談社)で連載が開始された《ヤスジのメッタメタガキ道講座》で一躍人気マンガ家となります。テンポの速いギャグと過激で誇張された表現で、「アサー」、「鼻血ブーッ」といった流行語を生みだし、瞬く間にブームを巻き起こしました。70年代後半にはそれまでの「都市」を舞台にした作品に対して、郷愁あふれるユートピアとしての「村(ソン)」を創りだし、個性豊かな動物キャラクターが登場するシリーズを多数描きました。
<〈天才〉は一日にしてならず-。苦難の“持ち込み時代”のメモ書き発見!>
谷岡ヤスジのマンガ家人生は、高校在学中から始まります。しかしその道は平坦ではなく、大人向けナンセンスマンガ家として本格的な活動を開始するまでの間、出版社へ持ち込みをしながら〈漫画修行〉を続けました。当時の編集者とのやりとりや自作への反省などを書き込んだ自筆メモは、後の天才漫画家を生み出す「礎」となった貴重な資料です。
< 「ナポレオンがうらやましい」ヤスジの1970年超多忙スケジュール帖を初公開!!>
作者手製の約2メートルにも及ぶ巻物状のスケジュール帖は、デビュー時期から亡くなった99年まで毎年分が遺されています。本展では《ヤスジのメッタメタガキ道講座》連載当時にあたる1970年のスケジュール帖を初公開します。当時1日2時間の睡眠と月約200枚という膨大な仕事量を彷彿とさせる記録を、ぜひその目でご覧下さい。
<躊躇なき“線”の力強さ!巨匠ヤスジの一コマを存分に味わう。>
谷岡マンガの独創的な言語表現と手書きの文字は、極限にまで単純化された描線とともにグラフィックデザインの見地からも評価を受け、数々の広告に起用されています。普段は何気なく読み進めてしまうマンガのコマですが、立ち止まって一点の絵画として味わってみてください。大胆な表現や線の勢いなど、あなたのなかでマンガと美術の境界が揺らぐにちがいありません。