新型コロナの影響で開館が遅れていたSOMPO美術館が、ついにオープンを迎えました。
美術館は1976年に開館した東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館が前身。1987年にはゴッホの《ひまわり》を購入、作品は常設で展示され、多くの美術ファンに愛されてきました。
旧美術館は昨年から閉館。損保ジャパン本社敷地内に建設された新美術館棟に移転し、新たなスタートを切りました。
損保ジャパン本社ビルの手前に建設された新美術館棟
新美術館棟は地上6階地下1階。東郷青児作品をイメージした柔らかな曲線が特徴的です。前庭にはゴッホ《ひまわり》の陶板複製画も設置されています。
ゴッホ《ひまわり》の陶板複製画は表面の凸凹も再現され、触ることも可能
建物は1階がエントランスホール、2階はミュージアムショップと休憩スペース。白が基調の明るい館内は、開放的なイメージです。
動線は1階から入り、エレベーターで5階へ。あとは階段かエレベーターで下に降りていく流れです。
開館記念の展覧会は「珠玉のコレクション-いのちの輝き・つくる喜び」。所蔵作品の中から特に優品を揃え、6章に分けて紹介していきます。
第1章「四季折々の自然」
第2章「『FACE』グランプリの作家たち」
第3章「東郷青児(1897-1978)」
第4章「風景と人の営み」 / 第5章「人物を描く」
展覧会では修復を終えた2作品もお披露目。
山口華楊は大正・昭和期に京都で活躍した日本画家。初期の大作《葉桜》の屏風絵は全面的な修復を行い、約10年ぶりの公開となりました。
(左から)山口華楊《葉桜》 / 山口華楊《幻化》
ルノワール《浴女》も古いニスが除去され、本来の明るい色彩が蘇りました。
ピエール=オーギュスト・ルノワール《浴女》
もちろん、何と言っても注目はゴッホの《ひまわり》。会場3階、順路としては一番最後に展示されています。
ゴッホは1888年から89年にかけ、南仏のアルルにて《ひまわり》を制作。1点は焼失しており、現存するのは7点。SOMPO美術館はアジアで唯一、ゴッホの《ひまわり》を見ることができる美術館です。
フィンセント・ファン・ゴッホ《ひまわり》
展覧会は日時指定入場制となり、美術館ではチケットは販売されません。あらかじめウェブなどでチケットをお求めの上、ご来場ください。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2020年7月9日 ]