IM
レポート
大正から始まった日本のkawaii(カワイイ)
弥生美術館 | 東京都
100年目のカワイイ
日本発祥の文化「カワイイ」は、今では「kawaii」という世界の共通語。ファンシー・グッズの歴史を辿っていくと、大正時代まで遡れます。大正元年から100年目の今年、弥生美術館 で「カワイイ」文化の企画展が開催されています。
内藤ルネ
ファンシー・グッズの元祖、竹久夢二
「手紙もの」の数々
松本かつぢ「くるくるクルミちゃん」
佐藤漾子
高橋真琴
水森亜土
「すずらん」「ゆり」「孔雀」は、現在の「カワイイ」ではあまり見られなくなったモチーフ
少女付録の歴史
ファンシー・グッズの歴史は、大正ロマンの画家・竹久夢二まで遡ることができます。

竹久夢二は大正3(1914)年、自身が手がけた千代紙・絵封筒・半襟などを扱う「港屋絵草紙店」を東京・日本橋に開店します。若い女性にターゲットを絞ったこの店は、まさに「カワイイ」文化の先駆けとなりました。

女学生の拡大にともなって「カワイイ」文化は拡大。大正や昭和30年ごろまでは、ファンシー・グッズの花形は「手紙もの」でした。


「手紙もの」

会場では「カワイイ」文化のキーとなった人物を何人か紹介しています。

日本初の長期連載少女漫画「くるくるクルミちゃん」を描いた松本かつぢもその一人。

かつぢが描いたクルミちゃんは愛すべきキャラクターとして多方面で商品化され、少女キャラクター・グッズの元祖ともいえる存在です。


松本かつぢ

日本が高度経済成長期に入ったころに活躍をはじめた内藤ルネは、「カワイイ」文化の最重要人物のひとりです。

少女が大人になることを急かされなくなった時代。ルネは読者と同じ年頃の中学生くらいの少女を幼児体型にデフォルメし、未成熟であることに価値を見出したのです。


内藤ルネ

水森亜土の存在も欠かせません。ハワイに遊学して開放的な感性を持っていた亜土は、幼児体型の女の子にセクシーな要素を取り入れました。

亜土の表現は、まさに「エロカワイイ」の元祖。亜土が枠を取り払った「カワイイ」文化は「キモカワイイ」「大人カワイイ」とバリエーションを広げ、現在の隆盛に繋がっていったのです。


水森亜土

会場は2フロア・2室。展示品も決して多くはありませんが、展示解説が秀逸です。「カワイイ」文化を論理的に紐解いており、読み応えがあります。

展覧会にあわせ、担当の中村圭子学芸員による書籍「日本の「かわいい」図鑑 ─ ファンシー・グッズの100年」も、4月24日に発売されます(河出書房新社刊、1680円+税)。

取材は平日の昼間。来館していた年配の女性グループは、ミュージアムグッズ売り場で一応に「これ、カワイイ!」と品定めをしていました。(取材:2012年4月18日)


会場
会期
2012年4月5日(木)~7月1日(日)
会期終了
開館時間
午前10時00分~午後5時00分(入館は午後4時30分までにお願いします)
休館日
月曜日、展示替え期間中、年末年始
住所
東京都文京区弥生2-4-3
電話 03-3812-0012
公式サイト http://www.yayoi-yumeji-museum.jp/
展覧会詳細 「大正から始まった日本のkawaii(カワイイ)」 詳細情報
おすすめレポート
学芸員募集
アサヒグループ大山崎山荘美術館 広報募集 [アサヒグループ大山崎山荘美術館 京都府乙訓郡大山崎町銭原5−3]
京都府
東山旧岸邸 正社員・契約社員 募集! [東山旧岸邸]
静岡県
令和7年度高松市会計年度任用職員 資料館等学芸員募集中! [高松市石の民俗資料館]
香川県
府中市美術館 学芸員募集 [府中市美術館]
東京都
学生大歓迎!【アルバイト】名古屋市港防災センター 運営・接客/イベント業務スタッフ 募集! [名古屋市港区港町1-12-20(名古屋市港防災センター)]
愛知県
展覧会ランキング
1
アーティゾン美術館 | 東京都
クロード・モネ -風景への問いかけ
開催まであと279日
2026年2月7日(土)〜5月24日(日)
2
松屋銀座 | 東京都
誕生70周年記念 ミッフィー展
もうすぐ終了[あと8日]
2025年4月23日(水)〜5月12日(月)
3
国立西洋美術館 | 東京都
西洋絵画、どこから見るか?―ルネサンスから印象派まで
開催中[あと35日]
2025年3月11日(火)〜6月8日(日)
4
東京国立博物館 | 東京都
イマーシブシアター 新ジャポニズム ~縄文から浮世絵 そしてアニメへ~
開催中[あと91日]
2025年3月25日(火)〜8月3日(日)
5
東京都美術館 | 東京都
ミロ展
開催中[あと63日]
2025年3月1日(土)〜7月6日(日)