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レポート
窓展:窓をめぐるアートと建築の旅
東京国立近代美術館 | 東京都
58作家、115点の「窓」
窓に関する知見を収集・発信している一般財団法人 窓研究所と東京国立近代美術館がタッグを組んだユニークな展覧会。ズバリ「窓」をテーマに、西洋名画から現代美術まで、さまざまな作品が並びます。
9章「窓からのぞく人Ⅲ」:タデウシュ・カントル《教室 ─ 閉ざされた作品》Tadeusz Kantor © Maria Kantor & Dorota Krakowska / Tadeusz Kantor Foundation
1章「窓の世界」
2章「窓からながめる建築とアート」
3章「窓の20世紀美術Ⅰ」
5章「窓からのぞく人Ⅰ」
7章「世界の窓」:西京人《第3章:ようこそ西京に ― 西京入国管理局》
11章「窓の運動学」 © Roman Signer
12章「窓の光」山中信夫《ピンホール・ルーム 1―3》
13章「窓は希望」:ゲルハルト・リヒター《8枚のガラス》

室内に光や風を取りこむ窓。部屋の中から外を見る事ができ、開け放てば外部と繋がる窓は、インスピレーションの源になりやすいためか、しばしば美術作品のなかで表現されてきました。


マティスやクレーなど20世紀美術の巨匠から、新作の現代美術まで、全14章構成で幅広く紹介する本展。ここでは気になった作品を中心にご紹介します。


3章「窓の20世紀美術Ⅰ」には、20世紀前半の作品。都市の発展になって生まれたウィンドウ・ショッピングを絵画のモチーフにしたのは、ウジェーヌ・アジェやロベール・ドアノーなどです。


一方、アンリ・マティスやピエール・ボナールなどは、窓そのものを繰り返し描いています。



9章「窓からのぞく人Ⅲ」は、タデウシュ・カントル《教室――閉ざされた作品》のみ。カントルは演劇でも活躍しており、この立体作品はカントルの代表作の演劇「死の教室」をもとにしています。


カントルは「開かれた劇場」に対し「閉ざされた作品」を提唱。この作品も、窓越しに室内を覗き見るしつらえです。


10章は「窓はスクリーン」。マイクロソフトがOSをWindowsと名付けたように、コンピュータと窓には強い関係性があります。


JODIの《My%Desktop OSX 10.4.7》は、コンピュータの窓が次々に開いていく作品。少し前のパソコンは、トラブルでこういう感じになった事を思い出しました。


11章「窓の運動学」にある、ズビグニエフ・リプチンスキの映像作品《タンゴ》は傑作です。ボールを追いかけて窓から入る少年をはじめ、最終的に36人が現れますが、それぞれがぶつかる事なく動きます。デジタル合成が一般的ではなかった1980年に、なんと別々に撮影し、手作業で切り貼りして作られたものです。


最後の13章「窓は希望」には、ゲルハルト・リヒター《8枚のガラス》のみが展示されています。


リヒターは絵画と並行して50年以上にわたってガラスを用いた作品を制作。65%が透けて35%は像を写す特殊なガラスを使ったこの作品は、周囲を歩きながら見ると景色が万華鏡のように写り込みます。


他にもロイド・ライトやル・コルビュジエなど著名建築家のドローイングや、藤本壮介の大型コンセプト・モデル《窓に住む家/窓のない家》が前庭に設置されるなど、盛りだくさん。全部で58作家、115点というボリュームです。


[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2019年10月31日 ]


窓展: 窓をめぐるアートと建築の旅窓展: 窓をめぐるアートと建築の旅

東京国立近代美術館 (編集)

平凡社
¥ 2,500(税別)

会場
会期
2019年11月1日(金)~2020年2月2日(日)
会期終了
開館時間
10:00~17:00(入館は16:30まで)
※金曜・土曜は20:00まで開館(入館は19:30まで)
休館日
月曜日(2020年1月13日は開館)、12月28日(土)~2020年1月1日(水・祝)、1月14日(火)
住所
東京都千代田区北の丸公園3-1
電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
公式サイト https://www.momat.go.jp/
展覧会詳細 「窓展:窓をめぐるアートと建築の旅」 詳細情報
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