犬と遊ぶ子供ジャン=バティスト・グルーズ 1767年頃
ヤマザキマザック美術館柔らかそうな栗毛、血色の良い頬、子犬をぎゅっと抱きかかえるふくふくとした小さな両手。簡素な肌着に身を包む少女が、こちらをひたむきな眼差しで見つめています。この作品が描かれた当時、人間の本来の特性を伸ばす教育-自然の教育を説いた、ルソーの教育論が大流行していました。幼い子どもが持つありのままの魅力を、鋭い観察眼と確かな技術で表現した本作は、「子ども」に対する価値観の転換期であった当時の世相を反映しているのです。
ジャン=バティスト・グルーズは、1760年代から80年頃まで、フランスで絶大な人気を誇った風俗画家です。彼が好んで描いたのは、本作のような市井の人の生活でした。
担当者からのコメント:当館所蔵品の中でも、非常に人気の高い作品です。一人と一匹の眼差しに、思わず見入ってしまいます。