《山羊に乗る仕立屋》マイセン磁器製作所(原型制作者:ヨハン・ヨアヒム・ケンドラー) 19世紀後半
岐阜県現代陶芸美術館マイセン人形の魅力は、その精巧な作りや愛らしさのみでなく、一つ一つの作品に込められた寓意や風刺表現にも見出せます。眼鏡をかけ艶やかな衣装に身を包んだ仕立屋の男が、同じく眼鏡をかけた山羊に跨るこのユニークな人形は、そうした風刺表現を含んだ代表的な作品です。宮廷晩餐会へ招かれた目の悪い仕立屋と山羊が、なかなか宮廷に辿り着くことが出来ない様子が表現されており、これは貴族が身分の低い者を嘲笑う際に、華やかな衣装を身に着けた人物が山羊に跨る姿が多用されたことに基づいています。