生誕80年・没後35年記念展　三島由紀夫ドラマティックヒストリー

　三島由紀夫（1925-1970）は、弱冠16歳にしてその文学的才能を認められ、「花ざかりの森」で文壇に登場しました。間もなく戦時下に青春時代を送ることを余儀なくされながらも、ひたすらに創作を続け、敗戦後の廃墟と混乱の世に出した『仮面の告白』で作家としての地位を不動のものにします。以後、「潮騒」「金閣寺」「鏡子の家」『午後の曳航』「豊饒の海」4部作などの小説や、「近代能楽集」「鹿鳴館」「サド侯爵夫人」などの戯曲、「文章読本」「林房雄論」「太陽と鉄」「日本文学小史」などのユニークな評論を遺した、日本が世界に誇る文学者の一人です。また、映画・演劇への出演、写真集の刊行などアーティストとしてのパフォーマンスにも時代を先取りするものがあり、自ら決したその最期とともに戦後世代の記憶に深く刻まれています。 　今回の展覧会では、その生涯と作品を、山中湖文学の森・三島由紀夫文学館所蔵の資料を核として、近年発見された数多くの新資料も加えて、編年体で総合的に紹介するものです。奇しくも昭和の元号と年齢を同じくする三島が、その作品によって現代の日本人さらには世界の人々に遺したものは何か、三島没後35年・敗戦後60年の今日において再考する絶好の機会となります。