2004年のスイス・バーゼルからはじまり、ボン、ニューヨーク、ロンドン、メルボルンと世界各都市を巡回しているツタンカーメン展。東京では
上野の森美術館 での開催となりました。
展覧会はちょっと珍しい構成で、冒頭はミニシアターでの映像説明から。テーマパークのアトラクションのような演出は、いかにも話題の大型展といった雰囲気です。3分ほどの解説の後に扉が開くと、いよいよ本編のスタートです。
ミニシアターでの映像説明展覧会は6章構成です。
第1章 ツタンカーメンの世界:新王国時代とは
第2章 古代エジプト人 スピリチュアル・ワールド
第3章 ツタンカーメンのミステリー
第4章 世紀の発見ツタンカーメン王墓
第5章 ツタンカーメンの真実
第6章 黄金のファラオたち
上野の森美術館の1階から2階へと進む動線。後半に行くにしたがって、煌びやかな世界が広がっていきます。
《アメンヘテプ2世の船の模型》1階の目玉は《チュウヤの人型棺》。94cm×68.2cm×218.5cmという大型の棺で、ツタンカーメンの曾祖母、チュウヤのミイラが入っていました。
木製の棺ですが全面に金が張られており、眩いばかり。周囲には数々の神の姿が刻まれています。
《チュウヤの人型棺》2階に上がると、さらに豪華な展示物が続々と登場します。
第4章では胸飾りや3体の神像と並んで、冠が違う2体のツタンカーメンの像が。冠は上エジプト(南部)と下エジプト(北部)の王冠で、当時の両地域は統一されていたものの、何世紀にもわたってそれぞれのシンボルは使われていました。
第4章の展示本展の最大の目玉が、下の動画でご紹介する《ツタンカーメンの棺形カノポス容器(内臓が保管されていた器)》。
高さ39.5cmのこの容器には、防腐処理されたツタンカーメンの肝臓が納められていました。頭部のブルーと金の縞模様はお馴染みのイメージですが、黄金に輝く身体も極彩色の彩色が施されています。
《ツタンカーメンの棺形カノポス容器(内臓が保管されていた器)》出口近くにはツタンカーメンのミイラが身につけていた飾りや短剣も紹介。ツタンカーメンのX線写真や、頭蓋骨のレプリカも展示されていました。
ツタンカーメンのミイラが身につけていた品々なお、公式サイトでも説明されているように、本展には1965年に来日した「黄金のマスク」は展示されていません。ただ、ツタンカーメン=黄金のマスクという捉え方が、むしろ不健全。初来日の秘宝を含む全122点は、3300年前の古代エジプトのファラオの世界を充分に堪能することができます。
世界各都市で1000万人以上を動員している話題展。会期は長めですが、見逃すわけにはいきません。(取材:2012年8月3日)