与謝蕪村 「奥の細道図巻」のうち女武者の場面
京都国立博物館では、松尾芭蕉を敬愛してやまない与謝蕪村が、「おくのほそ道」の全文を書写し、挿絵を添えた図巻を新たに発見したとして、新たに発見された図巻を特集展示「新発見!蕪村の『奥の細道図巻』」として初公開します。
今まで、蕪村の「奥の細道図巻」としては4件が知られていますが、今回、発見されたものは5件目となり、そのうちでも最古のものだと考えられています。
会場風景
今回の新発見は、今年2月、当図巻の所有者の方からの情報提供を受け、確認したところ、書風、画風、落款などから本物であることがわかりました。
今まで蕪村による「奥の細道図鑑」は10件ほどあるだろうことは、史料などから推測されていました。 特に、今回発見されたものについては、蕪村自身が多く語っていたり、注文者からの手紙が残っていたりしていましたが、ついに原本が日の目を見ることになりました。
蕪村自身が、この作品について、自身でおおいにほめていて、作品への強い思い入れを感じさせます。 今まで知られていた図巻に比べて、文字も絵もとても丁寧に、細かく描かれています。初めての作品に取り組む緊張感とともに、初々しささえ感じられるそうです。
特集展示会場入り口
今回の展示は、京都国立博物館 平成知新館の一室で「特集展示」として公開されています。
今回、新発見された図巻(安永6年)の他、京都国立博物館所蔵の重要文化財「奥の細道図巻」(安永7年)、横井金谷筆の模本(江戸時代)が展示されています。
横井金谷筆 蕪村筆奥の細道図巻模本 京都国立博物館蔵
他の作品との違いを間近に確認しながら鑑賞できます。挿図、書ともに違いがあり、それぞれに魅力があることがわかる、とても贅沢な試みです。
京都国立博物館南門 看板
今回の「新発見!蕪村の『奥の細道図巻』」展は、京都国立博物館の年間スケジュールにも載っていない展覧会です。新発見を受け、急遽開催が決まりました。新発見の感動を、新発見の興奮が冷めやらないうちにあじわえるまたとない機会です。
さらに、今回の新発見の図巻は全長1812.5cmもあり、すべてを展示することは不可能ですが、新出本の全図を掲載したリーフレットが展示会場で無料で配布されます。詳しい解説とともに鑑賞すればより感動が深まります。
今年は、同時期に、逸翁美術館にて逸翁本下巻を展示(5/21~6/26)、新潟市新津美術館にて山形本を展示(5/28~7/18)、サントリー美術館で京博本上巻を展示(7/27~8/28)されますので、「奥の細道」図巻三昧できる絶好のチャンスです。
[ 取材・撮影・文:atsuko.s / 2022年6月14日 ]
エリアレポーター募集中!
あなたの目線でミュージアムや展覧会をレポートしてみませんか?
→ 詳しくはこちらまで