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    レポート
    2025年3月にリニューアル、生まれ変わる大阪市立美術館(読者レポート)

    2025年3月1日(土)天王寺公園内にある大阪市立美術館が2年5ヶ月ぶりにリニューアルオープンします。本館は1936年(昭和11年)5月から、東京、京都に次ぐ公立美術館として親しまれてきました。重厚な趣き深く、いつも惚れ惚れとする外観。それだけに今回の改修工事でどう変わってしまうのか気になって待っていましたが、心配することはありませんでした。

    今回の工事はこれまでの歴史的でオーソドックスな外観をそのままに、内部はハイテクな美術館になって帰ってきました。特に耐震性などの安全面、展示・収蔵環境の向上や各種設備の整備など、より多くの人に親しまれる美術館となるよう配慮されたとのことです。



    《大阪市立美術館 外観》


    まずは新しくなったエントランス。公園から地下に降りてエスカレーターで中央ホールに入館するというスタイルになっています。この中央ホールは無料ゾーン。誰でも自由に立ち寄れる「じゃおりうむ」という交流スペースがあります。聞き慣れない言葉ですが、中国語の交流 (jiaoliu)+ラテン語の〜な場所・空間を表す(-arium)の造語とのこと。公園へ遊びに来た帰りにここでゆっくり涼むもよし、カフェでお茶するもよし、ショップに立ち寄るもよし、と身近な場所になりそうです。

    こちらのカフェテラスは、改修前より天井が高く開放的になっており、それはそれは美しく耽美な名庭園「慶沢園」を望むデッキも利用できます。美術館の開館時間の後も営業されるそうなので、作品を楽しんでから、ゆっくりくつろげる場所になりそう。どんなお店になるのか今から楽しみです。



    《1階中央ホール》



    《テラスからの眺望》


    大阪市立美術館といえば、中央ホールの大きなシャンデリアが印象的でしたが、東日本大震災の時に、シャンデリアがぐるぐる揺れたり、近隣の地震時には欠片が落ちてきたこともあり、今回なくす形で改修されたそうです。雰囲気あったのにな、と思いましたが、取り除いたところ二重になっていた以前の天井が現れてきたという副産物もあったようです。

    展示室では、展示ケースのクオリティの高さが印象的でした。照明の反射で作品が見にくくならないように透明度にこだわったコクヨ社のものを採用されているとのこと。本当に見に行ける日が待ち通しいです。



    《展示室》


    そして3階にはワークショップのコーナーができていました。ここでどのようなイベントが行われるか、こちらも楽しみ満載です。

    また私たちが普段目にすることのない収蔵エリアや作品の搬入出用エレベーターのリニューアルもされています。これまで開催している展覧会が終わった後、次の展覧会が始まるまでの休館している期間が気になっていましたが、広くなった収蔵庫と展示室を結ぶエレベーターの増設で開館しながらの展示替えができるようになるそうです。そのおかげで月曜定休と年末年始を除いた年間300日の開館を目指すとのことですので、これからはもっと沢山の美術品が観れるという特典がつきました。

    このようにリニューアルされた大阪市立美術館。2025年3月1日(土)〜30日(日)まで 「リニューアルオープン記念特別展What’s New! 大阪市立美術館 名品珍品大公開!!」が開催されます。大阪市立美術館が所蔵する8500件もの収蔵品の中から選りすぐった約200件が全館を使って展示されます。大阪市立美術館の「変わらぬ魅力と新たな魅力」をお伝えするお披露目パーティになるそうですので、ぜひ足を運ばれてはいかがでしょうか。

    またオープンに先駆けて、2024年8月27日(火)大阪市立美術館大規模改修工事完成記念ギャラリートークが実施されます。こちらは事前申し込みの抽選となっています。詳しくは大阪市立美術館のホームページでご確認ください。

    今回のリニューアルで、大阪にまた一つ楽しみな美術館ができ、私はとても嬉しくなりました。かしこまって観るのではなく、リラックスして、心を解放して、五感で存分に味わえる。そんなこの上なく至福の時間を過ごせる場所になりそうな予感がしています。

    [ 取材・撮影・文:Marie / 2024年7月12日 ]


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