寺田倉庫が作家やコレクターから預かっているアート作品を公開するWHAT MUSEUM。2020年12月にオープンし、天王洲エリアにおけるあらたな芸術文化発信施設として注目されています。
この秋からは、国際芸術祭「あいち2022」の組織委員会会長を務める大林剛郎氏のコレクションに焦点を当て、3つのテーマに沿った展覧会が開催中です。
外には3展の告知が並びます
では早速、それぞれの展覧会をご紹介しましょう。
まずは1階の「安藤忠雄 描く」。建築家・安藤忠雄氏の平面作品は、大林コレクションの出発点でもあります。
展示されているのは、初期建築作品のスケッチ、未完のプロジェクトのシルクスクリーンを含む平面作品15点です。
WHAT MUSEUM 大林コレクション展「安藤忠雄 描く」会場風景
なかには、和紙や色鉛筆を使った作品も。柔らかな筆致も印象的です。
ひときわ目をひく長さ10mのドローイングは、上海ビエンナーレ(2000年開催)で制作された《ベネッセハウス-直島コンテンポラリーアートミュージアム》。日本初公開です。
WHAT MUSEUM 大林コレクション展「安藤忠雄 描く」会場風景 安藤忠雄《ベネッセハウス-直島コンテンポラリーアートミュージアム》2000年
同じく1階で開催されている「都市と私のあいだ」。都市を形成するさまざまな要素(都市基盤・建築・インテリア・模型等)を被写体にした写真作品が中心です。
WHAT MUSEUM 大林コレクション展「都市と私のあいだ」会場風景
時間とともに移り変わる都市の変遷の様子を切り出しているのが、畠山直哉の「untitled / Osaka」シリーズ。
南海ホークスの本拠地だった旧・大阪スタヂアムを撮った作品では、グラウンド内にモデルハウスが建ち並び、住宅展示場として使われていた時代も紹介されています。
カメラを通して視覚化された、もう一つの都市のイメージといえるでしょう。
WHAT MUSEUM 大林コレクション展「都市と私のあいだ」会場風景 畠山直哉「untitled / Osaka」シリーズ
3つの展示で一番見応えがあるのが、2階の「Self-History」展。大林氏がこれまでに収集した現代美術作品を中心に約40作家の作品が展示される本展は、大林コレクションの集大成ともいえます。
WHAT MUSEUM 大林コレクション展「Self-History」会場風景
出展されている作家はトレイシー・エミン、ライアン・ガンダー、ミヒャエル・ボレマンス、トーマス・ルフなど。大林氏の850点前後を数える全コレクションの現在形といえる内容です。
美術史的には1990年代以降の作家が中心ですが、それらに影響を与えた1960~70年代の作家も含む構成です。
シュテファン・バルケンホール《赤いドレスの女》2019年
ギルバート&ジョージ《Hooded》2005年。
寺田倉庫G1ビルでは「バンクシーって誰? 展」(12月5日まで)、B&C HALL・E HALLではグッチの100周年記念展「Gucci Garden Archetypes」(10月31日まで)が開催され、新しいアートスポットとしてますます存在感を増す天王洲エリア。
大林コレクション展は、オンラインによる日時指定・事前予約制となりますので、ご注意ください
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2021年9月24日 ]