ファッション・テキスタイルを中心に、ものづくりをつづけている、デザイナー・皆川明。1995年に「特別な日常服」をコンセプトにしたブランド「ミナ ペルホネン」を立ち上げ、2020年に25周年を迎えます。
本展覧会では、つながる・重ねる・循環するといった多義的な意味をもつ「つづく」をテーマに、ブランドの世界観を紹介しています。
会場は「実」「森」「土」といった7つの自然のことばで空間を展開。展示構成を建築家・田根剛が、グラフィックデザインを葛西薫が担当。衣服、インテリアのほか、デザインの原画や映像も展示しています。
最初の空間の「実」では、ブランドの代表的なテキスタイルの刺繍柄「tambourine」を紹介。デザインの原点や生地になるまでの工程、そこから幅広く展開された家具やアクセサリーも飾られています。
400着以上もの服を一面に飾っているのは「森」。設立当初から2020年春夏コレクションまでの、約25年で発表された服の一部を展示。流行にとらわれないものづくりを続けてきたミナ ペルホネンの服を、全身で楽しむことができるインスタレーションです。
ファッションからスタートした活動は、インテリアや食器、空間デザインなど、生活全般へ拡大していきます。「種」では、そんなものづくりの哲学や創作のアイデアを紹介。空間の奥に配置されている「shell house」は、皆川が将来の夢として構想している「簡素で心地よい宿」のプロトタイプです。
「洋服と記憶」をテーマにした「土」では、個人が愛用してきた15点の洋服を、エピソードと共に展示しています。時の経過によって色褪せることのない服を追求してきたミナ ペルホネン。着るものの人生に寄り添い、その人の一部となっていくさまを感じることができます。
最後の「空」では、皆川明が本展覧会への思いを映像で語っています。作り手と使い手。クリエーションとモノ。それぞれが相互関係で繋がっている。そして、その多様性があるから「つづく」のだと語る皆川明。「せめて100年つづくブランド」という想いからはじめたミナ ペルホネン。25周年を迎えようとするブランドと、皆川明自身のこれまでの活動の軌跡をお楽しみいただける展覧会です。
[ 取材・撮影・文:坂入美彩子 / 2019年11月15日 ]