作家のカレル・チャペックが1920年に発表した戯曲「R.U.R.」ではじめて登場した、ロボットという言葉。100年あまりを経た今では、生産現場から日常生活までロボットはあらゆる場面に登場し、私たちの生活に欠かせない存在になりました。
約90種130点という、国内の展覧会史上最大規模となる多彩なロボットを展示しながら、ロボットと人間の関係性を考えていく展覧会が、日本科学未来館で開催中です。
日本科学未来館 特別展「きみとロボット ニンゲンッテ、ナンダ?」会場入口
展覧会は大きく3つのエリアにわかれた構成で、Zone1「ロボットって、なんだ?」から始まります。
ロボットの誕生から発展・拡大まで、壁一面の年表で紹介。AIBO、ASIMO、Pepperなど、時代を代表するロボットが並びます。
Zone1「ロボットって、なんだ?」
Zone2「きみって、なんだ? にんげんって、なんだ?」は、さらに小章に分かれており、Zone2-1は「からだって、なんだ?」。
スマホによる遠隔操作で介助者の手を借りずに日常動作ができる車椅子や、操作者の思いどおりに高所作業が行える人型重機など、ロボットは人間の行動の可能性を広げ続けています。
Zone2-1「からだって、なんだ?」
Zone2-2は「こころって、なんだ?」。人間の感情に寄り添う分野でも、さまざまロボットが活躍しています。
愛らしい姿をしたセラピー型のロボットや、話しかけると答えてくれるロボット。見た目も人間に似たアンドロイドは、人の存在感とは何なのか、私たちに問いかけます。
Zone2-2「こころって、なんだ?」 アンドロイドの議論 大阪大学大学院基礎工学研究科石黒研究室 国際電気通信基礎技術研究所石黒浩特別研究所 日本電信電話NTT人間情報研究所
Zone2-3は「いのちって、なんだ?」。けがや病気をロボットで治せるのは素晴らしい未来といえますが、亡くなった人をロボットとして蘇らせるのは、許されるのでしょうか?
身体をロボットに置き換えた人間。心をロボットで再現した人間。人間とは何か、いのちとは何なのか。ロボットを紹介しつつ、人間自身について考えていく事になります。
Zone2-3「いのちって、なんだ?」 オルツ・デジタルクローン オルツ
最後のZone3「きみとロボットの未来って、なんだ?」では、ロボットと共存している未来について、想像をめぐらせるエリアです。
来館者は4つのゲートのうちひとつを選び、ゲートの前で未来のストーリーを確認。サインに沿って右側の出口から出ます。体験者によってストーリーは変わります。
Zone3「きみとロボットの未来って、なんだ?」
ロボットの過去から未来まで通覧できる展覧会。多彩なロボットを見たり触れたりインタラクティブな展示もあるので、幅広い世代で楽しめそうです。
4月1日からは、日本のロボット開発の第一人者である故加藤一郎教授を中心に開発された、世界初の人型知能ロボット「WABOT-1(ワボット-ワン)」なども登場します。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2022年3月17日 ]