松本潤さんの主演で、徳川家康の生涯を描くNHK大河ドラマ「どうする家康」。予期せぬことが次々に起きた動乱の世で、多くの「どうする?」に向き合った家康が、現代に通ずるリーダー像として描かれています。
大河ドラマと連動し、家康をはじめ織田信長、豊臣秀吉など、様々な戦国武将にまつわる品々や、同時代の美術品・歴史史料などを紹介する展覧会が、三井記念美術館で開催中です。
三井記念美術館「NHK大河ドラマ特別展『どうする家康』」会場前
展覧会は6章構成ですが、個性的な展示室の三井記念美術館なので、展示は章の流れとは一致しません。ここでは、特徴的なものをご紹介していきます。
重要文化財《脇差 無銘貞宗》は、家康の遺品として伝わる脇差です。身幅が広く、浅く反りがついた大振り姿は、南北朝時代の脇差の典型です。
(左手前)重要文化財《脇差 無銘貞宗》伝貞宗作 南北朝時代(14世紀)静岡・久能山東照宮博物館[展示期間:4/15〜5/14]
もうひとつ刀をご紹介しましょう。国宝《短刀 無名正宗(名物 日向正宗)》は、もとは石田三成が所持していたもの。関ヶ原の合戦により東軍側に渡り、紀州徳川家に伝来しました。
国宝《短刀 無名正宗(名物 日向正宗)》伝正宗作 鎌倉時代(14世紀)三井記念美術館[展示期間:4/15〜5/14]
展示室4は、とても豪華。家康の一生をヴィジュアルにたどる《大日本五道中図屏風》など、目を引く作品が並びます。
展示室4
家康は三方ヶ原で武田信玄と戦い、大敗北を喫してしまいます。ただ、信玄はまもなく病死。長篠の戦いでは織田信長との連合軍で武田勝頼を破り、ついに武田は滅亡しました。
京都・大徳寺に伝わる《織田信長像》は、信長の下で安土城の障壁画などを手掛けた狩野永徳の筆とみられています。
(右手前)《織田信長像》狩野永徳筆 桃山時代・天正12年(1584)京都・大徳寺[展示期間:4/15〜5/14]
重要文化財《関ヶ原合戦図屏風(津軽屏風)》は、家康の養女・満天姫が嫁ぐ際に、家康からもらい受けた大作です。
右隻は合戦前日、左隻には合戦当日の関ヶ原の様子が描かれており、戦勝記念的な合戦図として制作されたと思われます。
重要文化財《関ヶ原合戦図屏風(津軽屏風)》桃山~江戸時代(17世紀)大阪歴史博物館[展示期間:4/15〜5/14]
展覧会のメインビジュアルになっている豪華な甲冑が、重要文化財《金陀美具足》です。
永禄3年(1560)5月、今川義元が桶狭間で討ち死にした時、19歳の家康(当時は元康)は前日に今川の属将として、近くの大高城の兵糧入れに成功していました。この甲冑は、その時に着用していたと伝わります。
(右)重要文化財《金陀美具足》桃山時代(16世紀)静岡・久能山東照宮博物館[全期間展示]
大河ドラマではまだ信長も健在。この先もまだまだ「どうする?」がありそうですが、展覧会では家康が他界し「東照大権現」として祀られるまでが紹介されています。
東京からはじまり岡崎と静岡に巡回します。会場と会期はこちらです。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2023年4月14日 ]