「ゲゲゲの鬼太郎」「日本妖怪大全」「河童の三平」「悪魔くん」などのヒット作で知られる、漫画家の水木しげる(1922-2015)。今年でちょうど生誕100周年となります。
現代の日本人に「妖怪」という文化を根付かせたといえる水木しげるは、どのように妖怪を表現してきたのか。水木ならではの妖怪世界を楽しめる展覧会が、東京シティビューで開催中です。
東京シティビュー「水木しげるの妖怪 百鬼夜行展 ~お化けたちはこうして生まれた~」 六本木ヒルズでの告知
会場に入ると迫力の演出。窓には妖怪の名前を書いた提灯がずらりと下がり、鳥取県境港市に並ぶ妖怪のブロンズ像と同じ妖怪も並びます。
取材時は好天の昼間でしたが、会場は22時まで開館(入場は21時まで)。日没後に訪れると、東京の夜景とともにお楽しみいただけると思います。
東京シティビュー「水木しげるの妖怪 百鬼夜行展 ~お化けたちはこうして生まれた~」会場
第1章は「水木しげるの妖怪人生」。漫画家であると同時に、妖怪絵師であり研究者だったともいえる水木しげる。水木にとって妖怪を描くことは、妖怪を集めることと同じ意味でした。
ここでは水木と妖怪の関わりを、幼少時代、従軍時代、漫画家時代と俯瞰しながら探っていきます。
第1章「水木しげるの妖怪人生」
第2章は「古書店妖怪探訪」。水木は仕事で水道橋を訪れた際、しばしば神田の古書店街に足を伸ばしました。
水木が幼少期の記憶にある妖怪を呼び起こされた柳田國男『妖怪談義』、強い衝撃を受けて妖怪画を描くきっかけになった鳥山石燕『画図百鬼夜行』は、ともに神田の古書店で出会ったものでした。
第2章「古書店妖怪探訪」
第3章は「水木しげるの妖怪工房」。水木は晩年までに1,000点近くの日本の妖怪を描いていますが、その創作方法は「絵師たちから継承」「様々な資料から創作」「文字情報から創作」と、大きく3つのパターンに分類されます。
第3章「水木しげるの妖怪工房」
第4章の「水木しげるの百鬼夜行」には、水木が描いた妖怪がずらり。
出没地で「山」「水」「里」「家」に分類され、それぞれに棲む妖怪が紹介されています。
第4章「水木しげるの百鬼夜行」
エピローグは「妖怪は永遠に」。そもそも水木が妖怪を描き続けたのは、妖怪を解明するためでした。
妖怪はいる、と確信していた水木は、妖怪を描きながら収集。同時に、妖怪文化を後世に残したいという気持ちも持っていました。
エピローグ「妖怪は永遠に」
会場内にはARで楽しめる体験型企画も登場。特設ショップでは展覧会限定の妖怪グッズが多数用意されています。
カフェも展覧会とコラボレーションした「妖怪の森 Cafe」になり、妖怪がさまざまなメニューになって登場しています。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2022年7月7日 ]