会場には日本刀の成立初期である平安後期から、江戸末期までの代表的な刀工作の40振がずらりとならびます。
刀の鑑賞のポイントである地肌(刀身に浮かび上がる木目のような模様、地鉄とも)や刃文(刃に浮かび上がる模様)の見方もパネルでしっかり紹介されています。
また、展示されている刀剣一振一振にも、作られた時代や場所、作者、云われなどが分かりやすい解説パネルがあり、まさしく展示室が丸ごと「刀の教科書」になっています。
地肌や刃文は光をあてることでよく見えてきますので、ぜひ、少し屈んだり、背伸びしたりして様々な角度からの鑑賞をおススメします。単眼鏡をお持ちであれば、さらに細かく「沸(にえ)」や「匂(におい)」までも見ることもできます。
「見どころ学べる!目で観る刀の教科書 展」会場この展覧会の主役とも言えるのが、重要文化財の『短刀 銘吉光 名物 信濃藤四郎』。酒井家に長く伝来し、大切にされた秘蔵っ子は、会場の一番奥にあります。
信濃藤四郎は短刀作りの名手と言われる粟田口吉光の手による一振。生ぶ(作られたままの姿で、後代に手を加えられていない状態)の部分もあるほど健全で美しい地鉄が見どころです。
重要文化財《短刀 銘吉光(名物 信濃藤四郎)》致道博物館蔵会場の致道博物館についてもご紹介しましょう。
山形県鶴岡市にある致道博物館。庄内藩の御用屋敷だった場所に、明治まで庄内藩を治めていた酒井氏が土地と建物を寄附して発足しました。
敷地には企画展が行われる美術展覧会場のほか、重要文化財を含む複数の建物が。見事な日本庭園「酒井氏庭園」は、国指定名勝です。
「御隠殿」は旧庄内藩主の隠居所ともなった館で、酒井家に伝わる美術工芸品や「庄内竿」などを展示。ちなみに「刀剣男士 信濃藤四郎」の等身大パネルも、ここの入り口に設置されています。
重要文化財「旧西田川郡役所」には考古資料など。同じく重文の「旧渋谷家住宅(田麦俣多層民家)」は山村豪雪地帯の民家です(もうひとつの重文「旧鶴岡警察署庁舎」は修復中)。
「重要有形民俗文化財収蔵庫」では、8件(5350点)の重要有形民俗文化財を保存。「民具の蔵」では商業資料や海運資料、鶴岡の伝統的手職資料が展示されています。
致道博物館 常設展示展覧会では「短刀 銘 吉光 特別展示」として、会期中通して展示される「名物 信濃藤四郎」のほか、5月27日(土)と28日(日)は「号 五虎退」、6月3日(土)と4日(日)は「名物 乱藤四郎」も展示されます。
スタンプラリーや、描き下ろしイラストの展示など、「刀剣乱舞-ONLINE-」とのコラボ企画も多数実施されていますので、
致道博物館の公式HPをご確認ください。
「刀剣乱舞-ONLINE-」効果で、47都道府県全てから来館者を集めている注目度の高さ。関東からのアクセスは、上越新幹線から特急いなほの乗り継ぎ、もしくは東北新幹線で仙台から高速バスがおすすめです。気持ちの良い初夏の旅行は今からでも間に合いますよ!
[ 取材・撮影・文:川田千沙・古川幹夫 / 2017年5月10日 ]■致道博物館 に関するツイート