IM
    レポート
    カタストロフと美術のちから展
    森美術館 | 東京都
    開館15周年の記念展
    地震や台風など自然による災害、テロや紛争など人為的な災害、そしてリーマンショックなどの経済的な災害…。どんなに時代が進んでも、カタストロフ(大惨事)は必ず発生します。社会的な悲劇に対して「美術のちから」を考察する展覧会が、森美術館で開催中です。
    トーマス・ヒルシュホーン《崩落》2018
    (左から)ヘルムット・スタラーツ《迷路》2010 / ヘルムット・スタラーツ《つねに、もっと》2014
    CATPC & レンゾ・マルテンス
    池田学《予兆》2008
    ムハマッド・ウチュプ・ユスフ《不屈》2009
    ヒワ・K《鐘》2015年
    坂茂《紙の大聖堂(ニュージーランド・クライストチャーチ)模型 1:10》(内部)2017/2018
    スウーン《メデイア》2017
    オノ・ヨーコ《色を加えるペインティング(難民船)》1960/2016-2018

    スペイン内戦からピカソの《ゲルニカ》が生まれたように、大きな災害は美術家を刺激し、後世に残る名作が生まれる事もしばしばあります。古いものなら平安時代の《伴大納言絵巻》も、応天門の変という大災害から生まれた作品です。


    節目となる周年の記念展で、普遍的なワードをテーマにしてきた森美術館。開館記念は「ハピネス」(幸福)、10周年は「LOVE」(愛)でしたが、15周年の今回は「カタストロフ」(大惨事)です。どんなに発達した社会でも避ける事ができない大惨事に対し、「美術が持つちから」を考察していきす。


    展覧会は2章構成で、セクションⅠは「美術が惨事をどのように描いてきたのか」がテーマ。絵画、映像、写真、立体造形など、さまざまな手法で表現された惨事が並びます。


    作品の中には、地震や津波などビジュアル化しやすい惨事だけでなく、金融危機や放射能汚染など、目に見えない脅威を題材にしたものも。時間とともに忘れられていく惨事を、それぞれの感性で記録・再現しています。



    セクションⅡは、破壊から生まれる「美術のちから」について。惨事がアーティストを刺激し、作品制作のきっかけになる事は少なくありません。日本でも東日本大震災の後に、多くの美術作品が生まれました。


    災害を踏まえた芸術活動は、「生活か、美術(または文化)か」という対立軸で語られる事がしばしばありますが、ようやく落ち着いた雰囲気で議論できる状況になりました。作品の質や意義についても、これから先も検証や評価が進むでしょう。


    本展では「プレ・ディスカション・シリーズ」として、展覧会の開催前に5回のトーク・イベントも開催。会場で映像が紹介されているとともに、各回のまとめが森美術館のサイトに掲載されています。長文ですが、見ごたえがありました。


    会場の外でも、オノ・ヨーコの作品が展示中です。《戦争は終わる》は、オノ・ヨーコとジョン・レノンが1969年に発表したプロジェクト。ベトナム戦争が激化する中、高々と「WAR IS OVER "IF YOU WANT IT"」と掲げました。50年前のメッセージが全く色褪せていない現実に、愕然とする思いです。


    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2018年10月5日 ]



    会場
    会期
    2018年10月6日(土)~2019年1月20日(日)
    会期終了
    開館時間
    月・水~日曜日10:00~22:00
    火曜日 10:00~17:00
    (いずれも最終入館時間は閉館の30分前まで)
    *展覧会により変更する場合がございます。
    *最新情報は、美術館のウェブサイトをご確認ください。
    休館日
    会期中無休
    住所
    東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/catastrophe/index.html
    料金
    一般 1,800円/学生(高校・大学生) 1,200円/子供(4歳~中学生) 600円/シニア(65歳以上) 1,500円
    展覧会詳細 カタストロフと美術のちから展 詳細情報
    おすすめレポート
    ご招待券プレゼント
    須田悦弘展
    応募する
    広重ブルー
    応募する
    学芸員募集
    【八尾市立歴史民俗資料館】学芸員募集(歴史担当)/※要学芸員資格 [契約社員/正社員登用制度あり]◆年休120日以上・未経験も歓迎! [八尾市立歴史民俗資料館]
    大阪府
    荻窪三庭園 施設管理運営スタッフ募集! [荻窪三庭園]
    東京都
    国立西洋美術館特定研究員(特定有期雇用職員)公募 [国立西洋美術館]
    東京都
    学芸員アシスタント兼受付業務(アルバイト)募集! [文化学園服飾博物館]
    東京都
    国立工芸館 事務補佐員(会計・施設担当) 公募 [国立工芸館 (石川県金沢市出羽町3-2)]
    石川県
    展覧会ランキング
    1
    国立西洋美術館 | 東京都
    モネ 睡蓮のとき
    開催中[あと88日]
    2024年10月5日(土)〜2025年2月11日(火)
    2
    麻布台ヒルズ ギャラリー | 東京都
    ポケモン×工芸展 ― 美とわざの大発見 ―
    開催中[あと79日]
    2024年11月1日(金)〜2025年2月2日(日)
    3
    東京都美術館 | 東京都
    田中一村展 奄美の光 魂の絵画
    開催中[あと16日]
    2024年9月19日(木)〜12月1日(日)
    4
    日本科学未来館 | 東京都
    特別展「パリ・ノートルダム大聖堂展 タブレットを手に巡る時空の旅」
    開催中[あと81日]
    2024年11月6日(水)〜2025年2月4日(火)
    5
    国立科学博物館 | 東京都
    特別展「鳥 ~ゲノム解析で解き明かす新しい鳥類の系統~」
    開催中[あと101日]
    2024年11月2日(土)〜2025年2月24日(月)