展覧会のテーマが「刀剣」。少し前までは、どちらかといえばマニアックな部類だったはずですが、刀剣育成シミュレーションゲーム「刀剣乱舞-ONLINE-」(以下、刀剣乱舞)の登場で状況は一変。刀を見るために女子が殺到するさまは、さまざまなメディアで話題になりました。
実は、本展が企画されたのは、刀剣ブームよりも前の事。地道な研究成果を披露する、という位置づけでしたが、空前の追い風も受けて、刀剣乱舞との大々的にコラボが決定。ゲームに登場する刀剣男士のモチーフとなった刀剣が、23振りも展示される事となりました(会期中通して)。
展覧会は時代ごとの8章構成。平安時代から現代までの山城鍛冶を総括し、現存する京都=山城系鍛冶の作品のうち、国宝指定作品のほぼすべてが出陳されています。
技術の広まりとともに、日本各地でつくられた刀剣。京都=山城系の刀剣は、生産量こそ備前に及びませんが、格式はダントツ。武家・公家を問わず、あらゆる場面で重用されました。すなわち、この展覧会こそ、日本刀剣の頂点そのものといっても過言ではありません。
会場では照明も入念に計算されており、刀身に刃紋が浮かび上がるさまは、ゾクっと来るような美しさ。ひと振りずつの違いを、ゆっくりお楽しみいただければと思います。
もちろん、刀剣乱舞以外にも見どころが。特筆すべきは、初公開の作品が多い事。祇園祭・長刀鉾町所蔵の長刀が初公開されるほか、日本では古代で一度絶滅した鑓が中世に再登場した際の「日本最古の鑓」も初公開となります。
展覧会が開かれるのは平成知新館ですが、隣の明治古都館では「刀剣乱舞-ONLINE-」コラボ刀剣男士の等身大パネルと、開催を記念した描き下ろしイラスト展示も。グッズが多数用意されているオフィシャルショップもお忘れなく。
120年の歴史を持つ京都国立博物館ですが、大規模な刀剣の展覧会は今回が初めて。大きくは9月29日(土)~10月28日(日)と10月30日(火)~11月25日(日)の前後期ですが、髭切は10月16日(火)~10月28日(日)の展示と、例外もあります。
「京のかたな」ですから、もちろん京都での開催のみです。首都圏方面から遠征の方は、JR東海の
「そうだ 京都、行こう。」×「京のかたな」がおススメ。往復新幹線・観覧券・刀剣解説本のセットや、500名限定の貸切プランなども用意しています。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2018年9月28日 ]