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    春日大社 若宮国宝展
    奈良国立博物館 | 奈良県

    令和4年、古来より20年に一度を式年として行われる、春日大社の摂社、若宮神社の社殿の御造替が完了しました。その式年造替完了を記念して、式年造替記念特別展「春日大社 若宮国宝展 -祈りの王朝文化-」が開かれ、春日大社に伝わる宝物など89点が展示されています。

    春日大社の宝物殿は、「平安の正倉院」とも称されています。藤原摂関家をはじめとする平安貴族が奉納した、当時最高峰の美と技の太刀や工芸品などが収められています。



    会場風景


    春日大社への人々の篤い信仰

    会場に入ってすぐ、若宮社から撤下(てっか=神前に供えた品をさげること)された獅子と狛犬が並んで出迎えてくれます。この場所は、写真撮影可です。初めての一般公開であり、写真撮影可ということで、展覧会への期待が高まります。



    会場入口


    春日大社への人々の信仰の広がりが、古記録や絵画作品などを通して紹介されます。

    奈良といえば、奈良公園にいる鹿ですが、その鹿は、春日大社の神の使いとして、神鹿と呼ばれています。春日の神鹿を中心に描かれる鹿曼荼羅と呼ばれる形式の絵画は、中世に盛んに描かれたと言います。 神鹿が雲に乗って飛来する姿を近景に、下方左右の春日野には鹿の群れが描かれています。



    会場風景


    「平安の正倉院」春日大社宝物殿

    「平安の正倉院」と称される春日大社宝物殿には、藤原摂関家をはじめとする平安貴族が若宮神に奉納した、最高峰の技術で作られた、王朝文化の粋を今に伝える工芸品の数々が今に伝えられています。

    柄に毛抜型の透かしがある太刀は、平安時代の工芸技術の粋が結集されています。藤原忠実による奉納とされています。



    国宝 若宮御料古神宝類 毛抜形太刀


    平成15年、若宮神出現1000年を記念して、社殿に奉納する一口、展示公開する一口、合計二口が製作されました。現代の人間国宝が手掛けた復元模造したものも並べて展示されていて、当時の輝きを見ることができます。



    若宮御料古神宝類 毛抜形太刀 復元模造



    若宮御料古神宝類 毛抜形太刀 復元模造 (拡大)


    国宝の神宝類を復元新調し、現代に甦る!

    前章の毛抜形太刀もそうですが、今展覧会で特に目を引くのが、国宝の「金鶴及銀樹枝・銀樹枝」や「銀鶴及磯形」です。いずれも十数センチで非常に小さいものですが、その存在感の大きさには目を瞠ります。

    往時のものと現代に甦った復元新調されたものが合わせて展示されています。往時のものを見ながら、現代に甦った輝きを見ることができるのは、想像以上の至福です。



    国宝 若宮御料古神宝類 金鶴及銀樹枝・銀樹枝・銀鶴及磯形



    若宮御料古神宝類 金鶴及銀樹枝・銀樹枝・銀鶴及磯形 復元模造


    古来より脈々と続く春日若宮おん祭

    奈良には、多くの祭りがありますが、毎年12月に行われる春日若宮おん祭は、大和一国を挙げての祭礼と言われています。春日若宮おん祭は、日本芸能の祭典であり、国指定重要無形民俗文化財に指定されています。



    春日若宮御祭礼絵巻


    その様子が、春日若宮御祭礼絵巻に、克明に描かれています。祭礼に参加する人だけでなく、見物する市井の人々の様子もよく捉えられ、当時の祭礼の雰囲気がよくわかります。

    それと並んで展示されているのが、現代の祭りの様子の写真です。絵巻と寸分違わない様子に感動を覚えます。 人々の篤い信仰と努力の賜物と言えるでしょう。






    今回、式年造替記念特別展「春日大社若宮国宝展 -祈りの王朝文化-」を観たら、奈良春日若宮おん祭を実際に観た行きたくなりました。

    [ 取材・撮影・文:atsuko.s / 2022年12月9日 ]


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    会場
    奈良国立博物館
    会期
    2022年12月10日(土)〜2023年1月22日(日)
    会期終了
    開館時間
    午前9時30分~午後5時
    ※入館は閉館の30分前まで
    休館日
    毎週月曜日(ただし、1月2日[月・休]、1月9日[月・祝]は開館) 年末年始(12月28日~1月1日)、1月10日(火)
    住所
    〒630-8213 奈良県奈良市登大路町50
    電話 050-5542-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト https://www.narahaku.go.jp/
    料金
    一般 1,600円 など
    展覧会詳細 春日大社 若宮国宝展 詳細情報
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