動物写真家として世界的に活躍している写真家・岩合光昭さん。ネコを題材として国内外の街を紹介するNHK BSプレミアムテレビ番組「岩合光昭の世界ネコ歩き」の放送や、展覧会「写真展 岩合光昭の世界ネコ歩き」で知っている方も多いのではないでしょうか。
岩合さんが撮影した、南米のパンタナールで出会った多種多様な野生動物を紹介するドキュメンタリー写真展が、東京都写真美術館で開催中です。
東京都写真美術館「岩合光昭写真展 PANTANAL」会場入口
岩合光昭さんは、1950年生まれ。19歳の時に訪れたガラパゴス諸島での自然の驚異に感動し、写真家として活動をはじめます。以来、世界中の大自然や野生動物を数多く撮影し、2度にわたり「ナショナルジオグラフィック」誌の表紙も飾っています。
(右)滝の裏側に営巣するアマツバメ / (左)上昇気流に乗って舞うクロコンドル
撮影場所となった“パンタナール”は、本州の広さに匹敵する世界最大級の熱帯湿地で、世界自然遺産にも登録されています。12種類の生態系を有するパンタナールは、生命の宝庫と言えるほど数多くの野生動物が息づいています。
会場には、パラグアイカイマンやアメリカバク、カピバラなどの生物が2メートルを超える大サイズでも展示されています。
東京都写真美術館「岩合光昭写真展 PANTANAL」 会場風景
1980年代にアフリカのタンザニアにあるセレンゲティ国立公園での撮影以降、次に訪れたい場所としてパンタナールを考えていた岩合さん。しかし、1年の半分は洪水で大地が浸水する大湿地での撮影は難しく、なかなか実現に至りませんでした。
2010年代に困難とされていたジャガーの写真が釣り人によってSNSで公開されたことをきっかけに、世界からパンタナールに注目が集まるようになります。
東京都写真美術館「岩合光昭写真展 PANTANAL」 会場風景 ジャガー
2015年に初めて滞在した際、わずか1週間の間に毎日ジャガーに出会ったという岩合さん。その後の撮影で、狩りをするジャガーや中型のアリゲーターのパラグアイカイマンなど様々な動物を収めます。
(左)日の出とパラグアイカイマン
(左)カピバラの群れ
水中でのパラグアイカイマンの様子を撮影するため、カメラや両足も沈めた岩合さん。魚類が豊富な湿地のため人を食物とすることは少ない様です。
(左)水中のパラグアイカイマン
「パンタナールは、セレンゲティ国立公園にも匹敵する美しい場所。心を通わせたパンタナールの魅力を是非、皆さんにも楽しんでいただきたい。また、地球にはまだまだ美しい場所が残されているということを感じてほしい。」と語っていました。
内覧会に登場した岩合光昭さん
[ 取材・撮影・文:坂入 美彩子 2022年6月3日 ]