開館21年を経て、常設展がリニューアルされる事となった
江戸東京博物館。工事のため休室する間、多くのお客様、特にこの時期に多く来館する校外学習の生徒・児童や、年々数が増えている訪日外国人の期待にお応えする特別展です。
本展は、常設展示のエッセンスを絞り込み、資料をコンパクトに見せる企画。いつもの常設展以上に、資料と楽しく対話するように見ていただきたい、という意図で「遠山の金さん」と「樋口一葉」を展覧会をナビゲートするキャラクターに設定しました。館の公式キャラクター「ギボちゃん」とともに、展示室の各所で解説してくれます。
会場入口から第1部の「江戸を探検する」は、江戸開府から幕末まで。徳川家康像から屏風、浮世絵、着物などが展示されています。
傑作の資料が、展覧会のナビゲーターでもある遠山金四郎の「起請文(きしょうもん)」。金さんは馬に乗る事が多いことから痔になってしまい、駕籠を使わせて欲しいと上役に頼んでいる宣誓書です。「遠山金四郎」の名とともに「痔」の文字も見事な達筆で記されています。
コーナーの最後には独自テーマの「コラム展示」も。ここでは、つい先ごろユネスコの無形文化遺産に登録が決まった和紙を取り上げ、紙を使った布で作られた裃(かみしも)などを紹介しています。
第1部「江戸を探検する」第2部は「東京を探検する」。明治維新の文明開化から、二度の災禍(関東大震災と東京大空襲)からの復興まで、約1世紀の間に東京は劇的な変容を遂げました。宣伝ポスターや日用品、国産のパーマネントウェーブ器、山手と下町の玩具の比較など、さまざまな切り口で紹介していきます。
こちらのコラム展示は「江戸東京レアグッズ」。回す人は涼しくならない《手動式扇風機》や、小さくなった墨でも摺れる「墨摺り器」など、役に立つのか立たないのか微妙な迷品・珍品は必見です。
第2部「東京を探検する」江戸博の常設展示で大きな人気を誇っていたのが、駕籠や人力車、リンタクなどの体験乗り物。こちらは第3部「江戸東京を体験する」で、引き続きお楽しみいただけます。
天保小判 1,000枚が入った重さと同じ千両箱と、田畑の肥料として使われていた肥桶(こえおけ)を持つ体験も可能。ちなみに重さは順に14kg、26kgです(容器を含む全体の重さ)。
会場出口には、リニューアルされる常設展示室の完成予想図も紹介されています。すでに
スペシャルサイトでも公開されていますが、昭和29年の住宅と暮らしぶりを紹介する「ミュージアムラボ」など、新コーナーも設けられるようです。
第3部「江戸東京を体験する」展覧会では、展示をよりいっそう楽しめる全9枚の解説シートも準備。
公式サイトでダウンロードできますので、来館前に準備いただければさらに楽しめると思います。
本展の後、2015年3月28日(土)には常設展示がいよいよリニューアルオープン。もちろんこのコーナーでもご紹介する予定ですので、お楽しみに。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2014年12月2日 ]