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    レポート
    「ねこ・猫・ネコ」展
    渋谷区立松濤美術館 | 東京都
    あの人も、この人も、ネコが好き
    リニューアル工事を終えた渋谷区立松濤美術館 、リニューアルオープン記念特別展は猫特集。どこを見ても猫だらけです。
    《絵手本習作》河鍋曉女・伝河鍋曉斎 明治時代 摘水軒記念文化振興財団蔵
    《春日権現験記絵(摸本)第6巻(部分)》原本:高階隆兼 永井幾麻摸 1925-35年 東京国立博物館蔵
    第2章 猫のいる情景 手前)《よく獲たり》 朝倉文夫 1946年 朝倉彫塑館蔵
    左から)《猫児(眠)》西山翠嶂 製作年不詳 三重県立美術館蔵、《眠る猫(「猫十態」のうち》藤田嗣治 昭和時代 和泉市久保惣記念美術館蔵、《仔猫の群》朝倉文夫 1927年 朝倉彫塑館蔵
    第4章 猫と蝶
    第6章 猫と美人
    《佐久間將監蔵(「狩野家縮図 漢人物」》狩野常信 江戸時代 東京芸術大学蔵
    左から)《裸婦》田中保 1924年 埼玉県立近代美術館蔵、《白の憂羅》牧野邦夫 1975年 個人蔵
    中国で大晦日に飾られる「老鼠取親」の年画
    展覧会は序章を含め8部構成。絵画も日本画から洋画まで、さらに彫刻や陶芸など盛りだくさんです。

     序章 猫の誕生
     第一章 孤高の猫
     第二章 猫のいる風景
     第三章 眠る猫
     第四章 猫と蝶
     第五章 猫と鼠
     第六章 猫と美人
     第七章 中国・朝鮮の猫


    地下1階 第一展示室会場内

    会場には、猫が蝶とじゃれている絵を何点か見ることができます。「猫」と「命」の発音が同じで、さらに「蝶」と「長」も同じなので、長生きを願うごろ合わせです。中国では同じく蝶と猫の絵を「耄耋(もうてつ)」といい、同じく長命を願うごろ合わせで昔から好まれる題材でした。

    猫は西洋では魔女の使いというイメージでも知られますが、このように吉祥の動物として好まれて描かれてきた歴史もあるのです。


    地下1階の「第4章 猫と蝶」と2階の「第7章 中国・朝鮮の猫」より

    立体作品も今回は多数展示。猫好きの彫刻家、朝倉文夫の作品は生き生きと動く猫の姿をよくとらえています。

    担当学芸員の平塚泰三さんの一押しは「黒楽銀彩手焙」。彫刻に見えますが、仁阿弥道八によって作られた陶器の置物です。手焙(てあぶり)という名の通り、茶席で手を温めるための道具です。背中の蓋から炭を入れ、猫をなでると手が温まるという遊び心。これが茶室においてあるのを想像すると、ほほえましく思えます。


    仁阿弥道八《黒楽銀彩手焙》江戸時代 遠山記念館蔵

    「猫と女性」として描かれる定番の一つが「女三宮図」です。女三宮は、源氏物語の登場人物。じゃれた飼い猫が御簾を引っかけて、その姿を柏木中将に見られてしまい、不義の恋が始まる…という印象的なストーリーで知られます。

    女性の着物の裾にじゃれつく猫というセットで、女三宮を市井の女性や遊女に置き換えて描いたのが「見立女三宮図」です。江戸時代は識字率の向上や解釈本が発行されたことで源氏物語が市民に普及し、美人とかわいい猫の取り合わせとして浮世絵を中心に流行しました。


    「見立女三宮図」は2階の展示室「第6章 猫と美人」で見ることができます

    会場はどこもかしこも猫だらけ。うちの猫に似てる…ああこういう顔するよね、と顔が綻んでしまう展覧会です。

    猫を飼っている方は、自慢の猫写真をプリントして持っていくと入場料が割引になるサービスも(詳細は公式HP をご確認ください)。猫派の方にはもちろんお勧めですが、猫の魅力をご存じでない方、見れば猫派になれること間違いなしです。
    [ 取材・撮影・文:川田千沙 / 2014年4月3日 ]

    会場
    会期
    前期:4月5日(土)~4月28日(月)後期:4月29日(火・祝)~5月18日(日)
    会期終了
    開館時間
    特別展期間中:午前10時~午後6時(金曜のみ午後8時まで)
    公募展・小中学生絵画展・サロン展期間中:午前9時~午後5時
    最終入館はいずれも閉館30分前までです。
    休館日
    4月7日(月)、14日(月)、21日(月)、5月7日(水)、12日(月)
    住所
    東京都渋谷区松濤2-14-14
    電話 03-3465-9421
    公式サイト http://www.shoto-museum.jp/index.html
    料金
    一般 1,000円(800円)/大学生 800円(640円)/高校生・60歳以上 500円(400円)/小中学生 100円(80円)
    ※()内は団体10名以上
    ※障がい者及び付き添い1名までは無料(手帳提示)
    ※毎週金曜日は、渋谷区区民は入館無料(在住を証明できるものをお持ちください)
    ※小中学生は、土日、祝・休日、夏休み期間は入館無料
    展覧会詳細 「「ねこ・猫・ネコ」展」 詳細情報
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