「夏休みに動物の絵を集めた展覧会」は、豊かな所蔵品を持つ美術館ならではの定番企画。もちろん千葉市美術館にも、動物をモチーフにした作品が数多くあります。
出展作品の年代は江戸時代から戦後まで。技法も襖絵、屏風絵、軸物、装丁、油彩、彫刻までと、多彩なラインナップを全15章で紹介します。
館内冒頭には動物そのものをズバリと描いた作品が並びますが、徐々に「どこに動物が?」という作品も登場します。
たとえば、下の動画でご紹介する《駿府城下行列図屏風》。「どこかに犬がいます」と説明されて探したところ……、行列の先頭に洋犬がいました。
《駿府城下行列図屏風》。先頭まで見てみると…吉祥のイメージとして紹介されているのが、鶴や鹿などです。
長寿シンボルとしての鶴は良く知られていますが、鹿は?というと、これは中国から伝わった含意。
「鹿」は「禄」の字と読みが通じることから、官禄・俸給を象徴しています。つまり、鹿の群生=お金が沢山、というイメージなのです。
「託された吉祥のイメージ」展覧会メインビジュアルの、流し目?の象を描いた森一鳳《象図屏風》をはじめ、魅力的な動物が多数登場しますが、ここでは魚の絵をご紹介しましょう。
勝間龍水(かつまりゅうすい)の《海の幸》は、雲母摺(きらずり:白雲母の粉を用いて光沢を出す手法)を用いた贅沢な写生図。
1762年の作品ですからちょうど250年前ですが、現在でもその表面には見事に光沢が残っています。
勝間龍水《海の幸》なお、本展最大のウリともいえるのが、ワークシートを使った企画「どうぶつを探そう」です。
初級編と上級編があり、ワークシートに描かれた動物を展示物の中から探すものですが、これが侮るなかれ。特に上級編はかなり入念に探さないと見つけられないものが多く、館長ですら全問正解できなかったという難問です。
全て正解の方には美術館のオリジナルグッズをプレゼント。大人もチャレンジできるので、ぜひお試しください。(取材:2012年8月14日)