インターネットミュージアムの読者の関心も高く、開幕前から期待のコメントがfacebook経由で寄せられていた展覧会。
展覧会のチラシもピンクの背景でポップなデザインと、いつもの
太田記念美術館とは少し雰囲気が異なります。
2階の会場「奇想の絵師」として知られる歌川国芳は、懐にネコを入れたまま絵を描いていたほど、大の猫好き。展覧会では国芳の作品をはじめ、国芳の弟子や周辺の絵師が描いた作品、243点が展示されます(前後期含む)。
地下の会場会場は8章で構成。擬人化された猫をはじめ、ペットとしての猫、化け猫、猫が集まって文字や絵になった人文字ならぬ猫文字など、あらゆるスタイルの猫が登場する、まさに360度猫尽くしの展覧会です。
三代歌川広重が絵を描いた《百猫画譜》猫の仕事といえば、もちろん鼠を捕まえること。鼠から食料を守るため、益獣としての猫を描いた作品も紹介されています。
6図で構成される月岡芳年の《猫鼠合戦》は、芳年20歳の作品。なぜか6図中5図までが、鼠が優勢の場面になっているのも興味深いところです。
月岡芳年《猫鼠合戦》猫好きにはこたえられない展覧会。冒頭で書いたクイズは、総勢2321匹の猫が出ているとのことです。カウントされた担当の方、お疲れさまでした。
余談ですが、「猫の浮世絵」と聞くと、当然「犬の浮世絵」も気になるところです。犬が登場する浮世絵も知られていますが、なぜか猫ほどは多くないそうです。
一般的な分析では、犬派は協調性重視、猫派は個人志向。江戸時代の人はマイペースの人が多かったのかもしれません。(取材:2012年5月31日)